1990年代前後のミニバン、ワンボックスカーの多くに設定されていたガラスルーフ。このガラスルーフは一般的なサンルーフとは異なり、ルーフの左右に分かれてガラスが装着されており、ポップアップすることができるモデルも存在していたのだ。

文/小鮒康一:写真/トヨタ、三菱、スバル ほか

■当時のミニバン、ワンボックスカーには定番の装備だった

1994年に登場した三菱 デリカスペースギアのクリスタルライトルーフ

 いわゆるRVブームで人気となったミニバン、ワンボックスカーは回転対座シートやテーブル、ベッドキットに冷蔵庫など、付加価値を与える装備を各社プラスしていったのだが、中でも人気となったのが、冒頭にお伝えしたガラスルーフだったのだ。

 もともと家族など多人数乗車が基本のワンボックスカーは、後部座席に座る人は今のようにスマホやタブレット、車載モニターなどもなかったため、退屈になりがち。

 そんなときでもガラスルーフがあれば解放感溢れる車内とすることができるだけでなく、上空の様子を見ることもできたため、退屈な時間を減らすことができた。

 そのため多くのワンボックスカーが採用することになり、軽自動車のサンバーにもサンサンルーフという名前でガラスルーフが設定されるほど人気の装備となっていたのである。

 しかし当時は現在のように軽量な樹脂製サンルーフなどは普及しておらず、ガラス製だったため重量がかさみ、ルーフ部分にそなわっていたため運動性能も低下するというデメリットもあったが、ワンボックスカーにハンドリングをそこまで求めるユーザーも少なかったこともあって不問となっていたようだ。

 ただその後はそもそもの車両本体価格の上昇などもあってか、高額オプションとなるサンルーフを含むガラスルーフ系の装備は徐々に姿を消すこととなる。

 理由はさまざまだが、製造のコスト高や高額なオプションを選ぶユーザーが減ったこと、そして雨漏りなどのデメリットもあり、徐々に設定車種が減って行ったと思われる。

 このように一時は多くの車種に採用されながらも姿を消してしまったガラスルーフだが、近年ではアルファード/ヴェルファイアやハリアー、カローラクロスなど人気車種に再び設定されることが増えてきている。

 残念ながら開閉機構は備わらないハメ殺しのタイプが主となるが、それでも解放感を味わうことができるガラスルーフが再評価される日が近づいているのかもしれない。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。