待ちわびたランドクルーザープラドの後継がついに登場した。その名もランドクルーザー250だ。先代よりも大きくサイズアップを果たし、居住性なども大きく向上した。そこで今回は、ランクル250を徹底解剖しランクル300に迫る完成度を見ていこう。

※本稿は2024年8月のものです
文:渡辺敏史/撮影:森山良雄/写真:トヨタ
初出:『ベストカー』2024年9月26日号

■やっぱデカッ! ファミリーカー的使い方をするならパートナーに相談を

2024年8月に試乗したトヨタ ランドクルーザー250。オフロードでは4月に試乗しているが、普段使いの感覚を知るにはやはりオンロードでの試乗が必要だ

 乗車のグレードは最上位のZX。2.8L、4気筒ディーゼルに8速ATの組み合わせとなる。タイヤは標準設定が20インチのオールテレーンだが、オプションで中間グレードのVXが履く18インチに径を落とすことも可能だ。

 オフロード用を含めたタイヤの選択肢は18インチのほうが豊富ゆえ、このあたりはランクルらしい気の利いた設定といえるだろう。

 250の3サイズは4925×1980×1935mm。黄金比のホイールベース2850mmも含めて、実質的には兄貴分の300系と等しいくらいの車格だ。狭い駐車場の枠に収めるのはさすがにスイスイとはいかない。

 それを補えるのはボンネットやウエストラインの形状からくる物理的な見切りのよさだが、ファミリーカー的な使い方を想定するなら、奥さんにはサイズの合意を得たほうがいいだろう。

 これだけ大きければキャビンスペースは余裕綽々。3列シートに180cm超えのオッさんたちが腰掛けてみても、頭周りは苦もなく収まるほどだ。USB-C端子も用意されるなど、小柄なパッセンジャーにとっては望外に座れる場所だ。

 1GD-FTV型ディーゼルユニットは先代にあたる150系プラドから継承しており、アウトプットは204ps/51.0kgmと同じ。最大トルクの発生回転域も1600rpmからと変わりはない。ただし、250はタービンを小径化、インペラ形状の最適化などで過給応答性を高めているという。

 車外ではディーゼルらしいガラガラ音を響かせるが、車内は至って静かで、そのエンジン音は加速時にちょっと気になるかという程度だ。もっとも、300系に搭載されるV6ディーゼルのF33A-FTV型と比べれば、音や回転フィールにザラ味が多いのは仕方ない。

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■クリーンな走りで大きさ以外は問題なし

100km/hまでならオンロードでのドライブフィールは至ってクリーン。つまり街で乗るかぎりは、大きさ以外の問題はないということだ

 走り始めるとタウンスピードでも気づくのは、8速化によってワイドレンジ化したミッションのマネジメントが、意外と高い回転域でギアを繋いでいく躾だということだ。

 具体的には1500rpm付近がそのポイントとなっており、それ以下の回転域に落ちるようなシフトアップは控えられているように窺える。燃費を狙うならなるべく上のギアを使いたいと思う反面、加速やエンジンブレーキの応答性というドライバビリティの面ではこちらのほうが都合がよかったりもする。

 ちなみにこのギア比の関係で100km/h巡航時は8速には入らず7速で約1800rpmとなる。8速の本格的な出番は120km/hのゾーンとなるだろう。

 と、今回試すことのできた100km/h界隈までの話にはなるが、オンロードでのドライブフィールは至ってクリーンなものだった。

 轍や目地段差、路肩段差に橋脚ジョイントやマンホールや……と、日常出くわすあらかたの入力を積極的に踏んでいったが、リアリジットサスの癖による横揺すりは時折ちょろりと顔を出す程度で、モノコック系SUVとの乗り心地の差異は限りなく小さい。

 それでいて、ボディ・オン・フレームならではのがっちりとした頼り甲斐は充分に伝わる。

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■300との差がグッと縮んでいる

ADASの性能も抜群のランクル250。300系の小改良が2024年内という情報もあるが、現状では250のほうが体感は上だ。オンロードでの快適性がここまであると300系の立場が……と心配になるほど

 骨格的にも共通項の多い300系との最大の違いはコーナリングの応答性に感じられた。絶対的なマスの違いもあれど、250は首都高や高速道路で出くわす中高速域のコーナーでは、操舵と旋回の体感的ズレは明らかに300系よりも小さい。

 また、ADASの追従性という点においてもこれ以上は自分で当て舵しないとかえって怖いというほど曲率のきつい首都高のコーナーでさえ、ぐいぐいとLKAを効かせて曲がっていってくれた。

 ACCについてもZXに関しては全車速追従に加えて渋滞時支援が充実したアドバンストドライブが標準装備となるため、行き帰りが憂鬱な週末のドライブでも心強いお供となる。

 電動パワステの恩恵ありがたしという感もあるが、実際、取材時もお盆直前の酷い渋滞に遭遇しながら、その楽ちんぶりにいい意味で嘆息したほどだ。ここは300系もそう遠くない年次改良で同等以上の更新があると思うが、装備的には250の現状もまったく不満のないレベルに達してはいる。

 オフロード試乗の経験も含めて鳥瞰的に見ると、250の印象は「300いらず」ということになるのかもしれない。フラッグシップとしての絶対領域はオフロードでの乗り心地や走破性においてもしっかり感じられるが、オンロードを含めた日常性を加味し始めると、その差はぎゅっと縮むことになる。

 想定されるあらゆる状況を清々しいまでにカバーしてくれる最高の道具。サイズを除けば250はそんな存在だと思う。3列シートや快適装備の必要がない私にとっては、いよいよベースモデルのGXがマイカー的な候補として考えられる存在になってきた。

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