北米で先行発売され、2025年には日本にも導入されるはずの日産・新型キックス。とはいえアメリカで300万円スタートという価格は、ヤリスクロスのいる日本では厳しそうにも思える。はたして日産はどんな戦略を描いているのか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:日産自動車

■新型キックスのライバルはヤリクロでなくてヴェゼル

日産の新型キックス。上質感があって好印象

 日産の押し出し感のある顔付きが、コンパクトSUVらしからぬ風格を感じさせる新型キックス。まずはメキシコ工場で生産が始まったが、遠からずタイ工場でも生産が始まり、そこで作られた右ハンドルモデルが日本に輸入されると思われる。

 とはいえ問題がないわけじゃない。北米の価格を見ると、キックスは2L直4の純ガソリンのベースグレードでさえ約2万1000ドル(約304万円)。日本市場ではキックスはヤリスクロスと同格と見られているだけに、この価格がネックになる。ちなみにヤリクロのベースグレード(1.5L直3)は190万7000円だ。

 実際には、キックスはヤリスクロスよりもわずかに大きく、セグメント的にもやや上に属する。たとえば新型キックスの全長は4366mmで、これはヤリスクロスよりも180mm長い。むしろキックスのライバルはヤリスクロスではなく、ホンダ・ヴェゼルなのだ。

■サブネームを付けるというプランも!

新型キックスのインテリア(北米仕様)

 とはいえキックスは、もともとマーチをベースとするジュークの後継モデルだから、なかなか上級感を打ち出しづらい。このままでは「ヤリクロに比べると高い」という理由で、ユーザーからも冷たい目線を向けられかねないが、せっかくCMF-Bという最新プラットフォームを採用したのに(先代はVプラットフォーム)、非常にもったいない。

 もちろんキックスの日本での価格が劇的に下げられればいいのだが、それはなかなか難しい。日本ではe-POWERが必須だから、むしろ価格はより上がる傾向になるだろう。

 そこで最近ウワサされているのが、キックスにサブネームを付ける戦略だ。日産にもブルバード シルフィやプレーリージョイといったクルマが存在したが、サブネームを付けることでオリジナルの車種のイメージを弱めて、新たな個性を打ち出そうという作戦だ。

 たとえば日産が今年に入って登録した商標に「ロッククリーク」という言葉がある。これまでロッククリークは、パスファインダーやローグ(エクストレイル)の特別仕様車に与えられてきた名前だが、こうしたネーミングを付ければ、オリジナルのキックスのイメージを弱めることができる。

 この情報はまだウワサの域を出ないが、新型キックスが新たなイメージを打ち出さなければいけないことは確実。来年秋までには日本発売されるというから、その戦略を楽しみに待ちたい。

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