2023年のジャパンモビリティショーでその姿を現した「W230」と「メグロS1」が、ついにタイでの販売を開始した。日本への導入時期はまだ未定だが、タイ仕様を紹介しつつ日本への導入についても予測していこう。

  文/後藤秀之 Webikeプラス  

「W230」と「メグロS1」の投入はタイ市場から

 カワサキのバイクのルーツはメグロにある。旧WシリーズはメグロのKシリーズがベースであり、現行のW800をベースにそれをトリビュートしたメグロK3が2021年に発売されたのは記憶に新しい。

 2023年のジャパンモビリティショーでカワサキは、230ccの空冷単気筒エンジンを搭載した「W230」と「メグロS1」という2台のニューモデルを展示した。エストレヤシリーズの生産中止後長らく空席となっていた、カワサキの軽二輪クラスビンテージスタイルモデルの登場は当然話題となっていた。元々エストレヤのデザインはメグロのジュニアシリーズをモチーフとしており、その後継モデルとなるW230をベースとしたメグロS1が、好調なカワサキのネオクラシック戦略路線に加わるのは自明の理と言えるだろう。

 モーターサイクルショーにも展示され、その登場が待たれたW230とメグロS1だったが、ついにタイでの販売が発表された。

 

 

 

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どこが異なる? 兄弟車W230とメグロS1

 W230とメグロS1は基本的にエンジンや車体を共用する兄弟車であり、基本的には外装関係のパーツの意匠が異なっている。

 W230はタンクと前後フェンダーが同色ペイント仕上げされ、パールアイボリー/エボニーというカラーリングを採用。タンクにはWのエンブレムが装着され、シートはツートン仕立てのものが装着されている。ダブル クレードルフレームに丸型ヘッドライト、ティアドロップ型燃料タンク、スポーク ホイール、金属製フェンダーなどを採用し、カワサキのビンテージデザインを時代を超えて現代的に再構築していると言えるだろう。

 対するメグロS1はメッキ仕様のタンクが装着され、フェンダーなどはブラックアウトすることでよりクラシカルなイメージを強めている。カワサキによるとこのメグロS1のデザインは1964年型メグロ SGからデザインのインスピレーションを得ているといい、各部にその意匠が生かされている。タンクにはメグロのエンブレム、サイドカバーやスピードメーターパネルにはカタカナで「メグロ」と入るなど細かい部分に過去のメグロブランドに対するトリビュートが見られる。またシートは黒字に白のパイピング仕様となっており、より一層クラシカルなイメージを強めている。

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レトロモダンの新時代を築く、223ccエンジンと新しいフレーム

 タイで発表されたW230とメグロS1に搭載されるエンジンは、KLX230シリーズに搭載される空冷SOHC2バルブ233ccエンジンをベースにしている。エンジンは低中回転域でのパワーフィーリングを向上させ、バランサー付きとなったことで余計な振動を抑えて乗り心地も向上させている。このエンジンは最高出力12.9kW/7000rpm、最大トルク18.6N・mと、KLX230よりも若干パワーダウンしているが、その分発生回転数が低められているので扱いやすい性格であると言えるだろう。

 ステンレス製のエキゾーストシステムは全体のデザインの美しさを高めるため、エンジンからマフラーの先端まで伸びる曲線を強調するためにエンジンの右側に配置。今や必需品となった触媒コンバーターはエキゾーストパイプの中央部に組み込まれており、ヒートシールドで覆うことでストレートでスタイリッシュな外観を実現している。

 

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 W230、メグロS1共に車両重量は143kgと非常に軽量に仕立てられているが、この車重の軽さに貢献しているのがクラス最軽量級のスチール製フレームだ。このフレームに従来の37mm径のテレスコピックフロントフォークを組み合わせ、キャスター角27.0°、トレール99mmという設定で、ゆっくりと安定したコーナリング特性を生み出している。リアショックは5段階調整付きのツインショックタイプで、クラシカルなルックスと高い走行性能を両立している。

 ホイールはフロン18インチ、リア17インチで、クラシカルなイメージを強めるスポークタイプが採用されている。ブレーキには前後ABS付きのディスクタイプが採用され、安全で快適なライディングをサポートしてくれる。

 

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日本への導入はいつ? そして価格はどうなる?

 このW230とメグロS1の製造はタイ工場となるため先にタイに導入されたと考えるべきで、基本的に日本にもほぼ同仕様で導入されることになるはずだ。気になる国内導入に関してだが、既に導入準備中であることはカワサキから公式に発表されているが、現時点では導入時期は未定となっている。当然日本でも同時に発売されることとなるだろうが、現在編集部に入っている情報によると新型のKLXシリーズよりも1ヶ月ほど早くなるのではないかということだ。KLXが本来12月導入の予定だったのが1月に延期されたとの情報もあり、それ考えると12月に国内販売が始まるのではないだろうか。

 気になる価格だが、W230がタイで14万9900バーツ、メグロS1が16万7900バーツと発表されている。10月1日時点で1バーツ=4.44円なので、そのまま計算するとW230は66万5556円、メグロS1が74万5476円ということになる。ちなみに同じタイ製造のNinja ZX-4R SEのタイでの価格は32万バーツで邦貨換算すると142万800円となるが、国内での販売価格は112万2000円となっている。つまり、Ninja ZX-4R SE国内価格はタイ価格の約80%ということになるので、この計算式に当てはめるとW230は約53万2444円、メグロS1は約59万6380円ということになる。もちろん為替の変動もあるので断言はできないが、W230は55万円前後、メグロS1は60万円前後というのが妥当なところではないだろうか。

 

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W230/メグロS1主要諸元(2025・タイ仕様)

・全長×全幅×全高:2125×800×1090mm

・ホイールベース:1415mm

・シート高:745mm(W230)/740mm(メグロS1)

・車両重量:143kg

・エジンン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒233cc

・最高出力:12.9kW/7000rpm

・最大トルク:18.6N・m(1.86kgm)/5800rpm

・燃料タンク容量:12L

・変速機:6段リターン

・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=90/90-18、R=110/90-17

・価格:14万9900バーツ(W230・タイ現地価格)/16万7900バーツ(メグロS1・タイ現地価格)

 

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