消費者庁は2024年3月12日、本来ならオプションとして別途費用がかかる装備を「標準装備」としてカタログ上に表記したとして、メルセデスベンツ日本に景品表示法違反(優良誤認)による課徴金12億3097万円の納付を命じた。今後、メルセデスベンツ日本はどうなる?

※本稿は2024年4月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年5月10日号

■課徴金で課された金額は不正利益の3%分だが

現行型GLAクラス(右)は2代目モデルにあたり、ドイツ本国では2019年12月に発表。日本市場へは2020年6月にFMCされた。一方、GLBクラス(左)は現行GLA発表と同時に日本仕様が発表された

 メルセデスベンツ日本、カタログ装備と違うクルマが届いたのを受け、ユーザーをだますような商談をして高いオプションを付けさせていたワケ。しかもメルセデスは素直に不正を認めなかった? じゃなければ消費者庁だってここまで怒らない。

 消費者庁、そう簡単には動かないです。フェアレディZは生産可能台数をはるかに超える注文を受けておきながら、契約後に一方的な値上げしたってスルーですから。

 どれだけメルセデスベンツが悪質なことをやったのか、やがて情報も出てくるだろう。メルセデスベンツ日本の上野社長は就任11年。一般的に雇われ社長で健全な経営ができるのは8年までとも言われる。

 ちなみに課徴金の金額は不正で得た利益の3%分とのこと。過去最高額の12億円という課徴金額を見ればその酷さがよ~くわかります。今後ユーザーにも還元されるのかどうか気になるところ。ユーザー側から訴訟を起こされたら返金か?

■戦々恐々としているのはほかのインポーターも?

現在、メルセデスベンツ日本の代表取締役社長CEOを務める上野金太郎氏。2013年2月から就任し、現在に至る

 ちなみに『景品表示法に基づく課徴金納付命令』は消費者に不正した金額分の返金をすればその分だけ課徴金は減額される。ディーラーでユーザーに対しお詫びをし、精算することになるだろう。

 その場合、メルセデスベンツというブランドは赤っ恥をかきます。高いプライドを持つ本国からすればとんでもないこと。コンプライアンスを守っていたら起きなかった。

 どんな沙汰を下すか大いに気になるところ。今頃大騒ぎしているのはメルセデスベンツ以外のインポーターかもしれない。もしかしたらうっかりミスで同じようなことをやっていたかも。

 しかもウクライナ侵攻で、一段と部品不足は酷くなった。2023年いっぱいくらいまでに納車された車両でも、この手の仕様変更は多かった。早めに申告すればいいと思う。

■「課徴金」と「追徴金」との違い

 今回、メルセデスベンツ日本に消費者庁が景品表示法違反で命じたという「課徴金」とはいったい何か?

 そもそも国が国民から強制的に徴収する税金以外の賦課金が課徴金となる。具体的には行政側の社会保険料や特許料、国営検査の手数料などがあるが、今回のベンツの件は司法側の罰金や科料などに当たる。

 追徴金との違いは税金を不当に納めない人への懲罰的な意味合いのあるのが追徴金なのに対し、課徴金は税金が含まれていないことが最大の違いだ。

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