車体とエンジンのメーカーが異なる。自動車メーカーのアライアンスの整理が進み、そういった例も珍しいものではなくなりつつある。ケースによっては新たな魅力がプラスされるという意見もあるが、イメージが確立したモデルとなると事情が異なるらしい。その端的な例が現行スカイラインの初期型。賛否両論渦巻いたベンツエンジン搭載のニュースを覚えている人も多いのではないだろうか?
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:日産、メルセデスベンツ
■スカイラインにベンツの2L直4ターボを搭載
数度のマイナーチェンジでスタイルこそ変わっているが、いまだに現行のV37スカイライン。10年前のデビュー時のラインナップを覚えているだろうか? V6ハイブリッドと2Lの4気筒ターボの2本立てだったのだが、その2Lエンジンがメルセデス製ということが大いに話題となった。クルマの根幹をなすエンジンが他社製? それもスカイラインのエンジンが!? と賛否両論が巻き起こった。
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■スカイラインゆえに多かった否定的な声
賛否両論もどちらかと言えば“否”の方が多かったような印象だが、何がダメだったのだろうか? 大きな理由として、搭載されたのがスカイラインだったから、ということがあるように思う。
昔からスカイラインは、走りが魅力のモデルとして、そのエンジンも含め、日産のブランドアイコンと言っても過言ではない存在であり、そのエンジンが他社製なんて、というアレルギー的反応だったのではないか、みたいに思う。搭載モデルがスカイライン以外なら、ここまで話題にならなかったのでは? とも。
しかも、搭載されるのは、とりわけ走りのイメージがある訳ではないメルセデスのもの。加えて、そのエンジンが4気筒なのにも関わらず、搭載グレードは「GT-t」。4気筒なのにGT? 長年の伝統から外れることになるグレード名に違和感を覚えるファンも少なくなかったようだ。少なくともスカイライン&日産ファンにとっては、メルセデスの名前はプラスにはならなかったという印象だ。
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■AMGのエンジンだったら歓迎されていただろうか?
スカイラインに搭載されたエンジンは2L、4気筒のM274。これがもし同時代のV6、M276だったならどうだったのだろうか?
300psを上回るスペックはひとまずスカイラインの名にも相応しいし、GTを名乗るのも問題はないように思うのだが……。はたまたBMWのN55あたりならどうだったのだろう? エンジンメーカーとも言われるBMW製ユニットならファンも納得!? 原理主義的スカイラインファンにとっては、日産以外のエンジンはすべてダメだったのか? 妄想は尽きない。
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■市場の評価は……エンジンは何でも関係なかった!?
ファンにとっては拒絶的反応も見られたベンツエンジンだが、市場ではあまり影響はなかったのか、少なくとも中古車価格は、V6もメルセデスエンジンでも価格に大きな差は見られない。
つまり、プラスにもマイナスにもなっていないということ。加えて言えば、スカイラインの中古車相場は車両の条件に対してやや高め傾向。100万円未満から買えるが、格安のものは条件もそれなり。セダンということもあり、新車の人気は今ひとつだが、中古車としての人気はそれなりに高いようだ。
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