交通事故と飲酒運転を根絶するため、商用車に乗務する前は運行管理者によるアルコールチェックなどを含む「点呼」が義務付けられている。一般的には対面で行なうが、時間や場所などの制約から業務負担が大きく、遠隔点呼や業務後の自動点呼なども認められている。

 この度、業務前自動点呼(先行実施)の解禁に合わせて、デンソーソリューションは事業者向け管理システムに同機能を追加した。ドライバーのみで点呼が完了するため、柔軟な働き方と業務効率の改善が可能になりそうだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・イラスト/株式会社デンソーソリューション・全日本トラック協会

運送事業者向けの業務「前」自動点呼機能をリリース

デンソーソリューションのBSSに「業務前自動点呼」機能が追加された(先行実施)

 株式会社デンソーソリューションは、運送事業者向けの管理システムとして現在取り扱いを行なっている「Business Support System(以下、BSS)」に、業務「前」の自動点呼機能を追加した。

 2025年3月31日までの期間で先行実施するもので、国土交通省の要件を満たすための必要機材を追加購入することで、業務前の運行判断などを自動で行なうことができる。自動点呼時は、原則として管理者の立会は不要となる。

 BSSはこれまでに運送事業者を中心に2000社以上の企業へ導入されており、国交省の点呼制度の改正に合わせて、その都度、遠隔点呼/業務後自動点呼/遠隔地IT点呼などの機能を順次追加してきた。

 各機能を活用することで簡単に点呼を実施することができ、また保管データについては全拠点分を一元管理することで事業者の業務負荷軽減に貢献している。

 このたび追加された業務前自動点呼(先行実施)は、貨物自動車/一般旅客自動車運送事業の営業所・車庫などを対象に、2024年5月から2025年3月末まで(申請期間:2024年12月末まで)の期間に実施し、業務後自動点呼の要件26項目に3項目の要件を新規追加したもの。

 なお、従来の要件は本人確認やアルコールチェック、体温・血圧測定などの機器・システム要件と、システムの設置場所や安定した通信ネットワークなどの環境要件、データの記録・保存や機器故障時の対応策など運用上の要件がある。

 これら26項目に加えて、業務前自動点呼では血圧計・体温計との連携、その測定結果・疲労状況から乗務判断を自動で行なう機能、乗務NGとなった場合に運行管理者が点呼を再開させる機能など、大きく分けて3項目が追加された。

 対象機器を購入後、国交省へ申請し承認が得られ次第利用可能となる。BSSの業務前自動点呼では、必要機器をそろえ、点呼ソフトをインストールした点呼用パソコンをドライバーが自身で操作することで点呼の実施が可能となる。点呼記録は電子化されクラウド環境に自動保持され、管理者の立会は不要だ。

 ドライバーのみで点呼が完了するため、運行管理者が対面式で実施していた従来の点呼より大幅に労働時間を削減できる。

 立会不要で24時間点呼を実施できることに加えて、システム化による点呼項目の漏れ防止と、全て運行管理者扱いになるため、補助者による点呼の比率を気にする必要がなくなることなども自動点呼のメリットだ。

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