水素エンジンの開発を進めるトヨタ。日本市場ではFCVのラインナップはあるが、海外ではすでに水素エンジンの車両が市街地を走り始めている。今回はオーストラリア仕様の水素エンジンハイエースに、なんとハイブリッド(THS)が搭載されたという。早速試乗レポートをお届けしよう!!!
文/写真:ベストカーWeb編集長 塩川雅人
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■モーターはクラウンのものを使用
2023年にトヨタは水素エンジン車両の試乗会をメディア向けに実施した。車両は海外仕様のハイエースでV6の3.5L水素エンジンに換装した個体。ベースエンジン(V35A)がランクル300と同じなど、マニアとしては唸る箇所も多いのだけれど、今回はちょっと省略しよう。
そんな水素エンジンの乗り味も非常に自然だったのだが、今年はなんとトヨタ渾身のハイブリッドシステム(THS)を搭載したという。世界初の水素ハイブリッドだ。
開発陣は3週間ほど前にクルマを仕立てたばかりという。たしかに助手席にはハイブリッドバッテリーが鎮座し、シフトセレクターも急造したような雰囲気は開発車両の風貌。
それでもエンジンルームは整然としており、やはりTHSの収まりのよさがキラリと光る。ちなみにモーターは132kWの出力を有しており、こちらはクラウンに搭載される「2NM」だという。
走行している車両を見ると非常に静粛性も高く、比較試乗用に置かれた水素エンジン車と比較すると大きな差がある。この差異は通常のガソリンモデルとハイブリッドモデルと同じと考えてもらえれば大丈夫だ。
■極太トルクでグイグイ加速していく
車両総重量3820kgという超巨体のハイエースだが、ハイブリッド仕様と水素エンジン仕様で重量は変わらない。というのも、ハイブリッド仕様は助手席にバッテリーなどを搭載していることで定員が1名少ない11名。
エンジンも120kWで共通だが、前述したモーター出力がここに加わる。加速性能はベース比で25%アップとなる。
実際に乗ってみるとその出だしは鋭い。比較試乗した水素エンジン車両も制御面が1年でアップデートされていて、電子制御アクセルのタッチも自然で低速からのトルクを充分に感じるようになった。
それ以上にハイブリッドモデルは大排気量V8エンジンのような、前からグイーッと引っ張られる加速感を味わえる。モーターとエンジンの切り替えも自然。
細かいことを言えばバッテリー走行時からの加速感に少しラグがあるようにも思ったが、このあたりは熟成が進むだろう。ちなみに航続距離はハイブリッド化で従来型から50km伸びた250kmとなる。
水素エンジンの市販化は現実的なハードルはあるが、やっぱり水素エネルギーの拡充は「ユーザーの選択肢」が増えることにも繋がる。ワクワク楽しい水素エンジン、楽しみにしたい!!
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