台湾で最大規模となる自動車部品・用品見本市「TAIPEI AMPA 2024」が4月17~20日の4日間に渡って台北市の南港展示センター1階・4階で開催された。40周年を迎えた今回は前年度(TAIPEI AMPA 2023)よりも会場規模を拡大し、2つの展示会(「AUTOTRONICS TAIPEI」「E-Mobility Taiwan」)も併催され、日本を含む14カ国から約1,000社2,700小間が出展。EVやADAS(先進運転支援システム)関連、3Dプリンター・スキャナー、二輪関連の出展ゾーンが拡大されたほか、開会式および40周年記念セレモニーには多くの来場者が集って盛り上がりをみせた。
部品・用品関連の出品が多い傾向ではあったが、今回のTAIPEI AMPA 2024でカーディテイリング関連商材をアピールしていた出展社の中で、特に目を引いた7社の商材をピックアップして紹介したい。
高級車向け・デザイン性豊かな「カーフレグランス」
自動車用や家庭用芳香剤などの生産・販売を行う1996年創業の台湾メーカーAromate Industries Co., Ltd.は、高級感あふれる木製のデザインが印象的なフレグランス「Wood Vent」シリーズをアピールしていた。
同製品は、カートリッジ交換タイプで4種の香り(Cool Ice、Vanilla Delight、Willow&Amber、Aqua Blue)があり、フレグランスの効果は約60日間とのこと。木製の製品本体表面に好みのロゴなどを印字できる点がユニークで、高級車を保有する富裕層をターゲットにグローバルで展開中。日本において「Wood Vent」シリーズは未販売だが、Aromate Industries社は日本の大手製薬会社や芳香消臭剤メーカーのOEM生産を行っており、同社製の芳香剤が日本の消臭・芳香剤製品などに採用されているという。
EV特化の非導電性でゴム・樹脂も保護する「クーラント液」
研磨ワックス剤をはじめ、幅広いカーケア用品を開発・販売する1994年創業の台湾メーカーBLACK PEARL INTERNATIONAL INDUSTRY CO., LTD.は、普及が拡大するEVに着目し、環境保護を意識して開発したEV特化の非導電性クーラント液「Electric Vehicle-Specific Coolant」を出品していた。
同製品は2024年に新発売された電気を通さないクーラント液で、電気化学的な反応による金属の腐食(電蝕)を防止。EVのバッテリー冷却経路のサビ予防に貢献し、冷却システムのゴム部品や樹脂部品も保護するという。同社のダレンヤン社長は、すでにEVメーカーから高評価を得ており、日本の大手接着剤メーカーと契約済みで、より多くの日本企業との取引を強化したい考えがあるとコメントするなど、日本市場への進出に意欲的な姿勢をみせた。
品質・環境保護重視の「ペイントプロテクションフィルム」
建築用や自動車用ウインドウフィルムに特化した製造・輸出を行う2004年創業の台湾メーカーPOYA-TECH Co., Ltd.は、ペイントプロテクションフィルム「LUSTER」シリーズを強く訴求していた。
創業以来培ってきた建築用フィルムの製造技術を活かして、ウインドウフィルムやペイントプロテクションフィルムを製造。黄ばみにくくキズ保護性能や耐久性もあり、フィルム剥離後にホコリやゴミなどが付着しにくい点も特徴とのこと。同社スタッフによれば、台湾のペイントプロテクションフィルムメーカー3社の中で唯一、品質管理のISO9001と環境保護のISO14001を取得し、他に先駆けて環境保護やサスティナビリティに関する取り組みに注力しているという。また現在は海外数カ国へ輸出販売中で、日本市場進出に向けて販売代理店を募集していた。
台湾のプロに人気の「汚れ・水垢・鉄粉取りクリーナー」
カーディテイリングおよびカーケア用品の生産・販売を行う1984年創業の台湾メーカーKYOEI TAIWAN CORP.は、グローバル展開するカーディテイリングブランド「VANGUARD」の人気アイテムを出品し、中でも2014年から販売する汚れ・水垢・鉄粉取りクリーナー「CLAY-U」をアピールしていた。
同製品は、6角形の織り構造により素早く汚れや水垢、鉄粉を除去できる。クロスやグローブタイプが人気で、形状のカスタマイズが可能。台湾のプロショップから高評価を得ており、定番アイテムとして定着しているという。台湾で特許取得済みで、今後は日本市場進出に向けて販売代理店を募集中とのこと。このほかブースには、同社オリジナルワックス「Carnauba Porcelain Glaze Wax」も訴求。施工技術がない一般ユーザーでも手軽に使える点が魅力で、台湾の主要なカー用品店だけでなく、韓国でも人気を集めているという。
2万セット販売「コードレス・スプレーガン&コーティング剤」
スプレーガンやエアーブラシを製造・販売する1986年創業の台湾メーカーGLOBE TOP INDUSTRIAL CO., LTD.は、バッテリー交換式のコードレス・スプレーガンと組み合わせて施工するオリジナルコーディング剤「CAR WORLD」をアピールしていた。
EVが常にアップデートを繰り返すように、スプレーガンやコーティング剤といった商材も進化させたい思いがあり、現場の作業負担軽減を目的にコードレスのスプレーガンとセットにしたコーティング剤を開発したという。2021年から発売を開始し、台湾のカーディテイリングショップから好評。使用や施工に特別な技術は必要なく、動画サイトなどで使用方法を配信中。同社スタッフによれば、自動車メーカー・スズキの台湾生産拠点「台湾スズキ」と取引があるほか、中国や韓国でも展開中で、これまでに2万セットを販売したと話していた。
ボディやヘッドライト磨きもOKの「研磨剤」
洗浄剤や芳香剤、研磨剤などの研究開発・製造販売を行う2003年創業の台湾メーカーDONZEE Enterprise Ltd.は、自社ブランド「RIDOF」シリーズの新製品として、研磨剤「Multipurpose Polish Paste」を出品していた。
自動車業界だけに限らず幅広い業界で対応可能な金属磨き用の研磨剤として開発され、2023年から台湾でのみ販売。水溶性かつ不燃性で無毒、非酸性が特徴で、艶出し用・下地磨き用・シミ・煤除去用の3種を展開。自動車用途としては、ボディやヘッドライト磨きの研磨剤としてニーズが高いという。このほか、同社ブランド「RIDOF」シリーズ品として、グリースやタール、シリコン、塗料、接着剤、樹脂などの強力な汚れを拭き取れるウエットシートもアピールしていた。
指紋防止に特化した「コーティング剤」
カーディテイリングやカーケア用品専門の化学製品を研究開発・製造する2002年創業の台湾メーカーBAIOU CHEMIEC ., LTD.が手掛けるコーティングブランド「BP Coating」シリーズの新製品も出品されていた。
プロ向けの「BioPeak Coating」はスプレータイプのコーティング剤として2023年から発売。日本から輸入した高硬度で耐摩耗性の高いシロキサンを原材料に使用。指紋防止に特化し、3層構造で撥水性・耐候性・キズ修復を実現するという。台湾に自社工場があり2022年からカーケア製品用製造ラインを展開。コーティング剤の原材料を日本から輸入しているため、日本市場には進出しない予定だという。
TAIPEI AMPA 2024で目を引いたカーディテイリング関連商材の多くが、日本市場への進出に意欲的で販売代理店を探しており、近い将来、日本で提供される可能性が高いように感じた。近年の日本は花粉や黄砂の飛散量が年々増加し、ボディが汚れやすくなっている。特にADAS搭載車はカメラやレーダー部分の汚れで正しく動作しない可能性もあり、洗車をはじめとするカーディテイリング関連サービスは今後もニーズがあることは間違いない。今回紹介した台湾メーカー各社の商材を十分に検討したうえで、他に先駆けて導入すれば同業他社との差別化になるだろう。ぜひ海外の商材に目を向けて、カーディテイリング・ビジネスの活性化につなげてほしい。
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