タイヤ交換を思い出し、ゲンナリした人はいないだろうか。かくいう私もその1人で、少し前までエレベーターなしの3階に住んでいたが、タイヤ交換の季節になるたびに、1人で部屋から重いタイヤを発狂しながら運び出していたのはまだ記憶に新しい。そんな私たちに朗報だ。ダンロップタイヤの住友ゴムが7月22日に発表した最新のオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」がついに登場したのだ!
文:井口 華音/写真:小林 岳夫
■ところでシンクロウェザーってなに?
現在発売されている多くのオールシーズンタイヤは、冬の積雪路には対応しているものの、 カタログにも記載されている通り、凍結路には推奨されていないことがほとんどだ。
積雪路では充分な性能を発揮するものの、凍結した路面ではそのグリップ力が十分でないため、寒冷地ではスタッドレスタイヤが必要となる。
しかし、シンクロウェザーでは、凍結路でも使える技術を取り入れ、これまでの不便さを解消することを目指している。その技術の中心となるのが「アクティブトレッド」だ。
「アクティブトレッド」技術は、タイヤ表面のゴムに特殊なポリマーを配合し、路面の状態に応じてタイヤの柔軟性を変える仕組みだ。まず、「水スイッチ」という機能は、水分と反応してトレッドゴムを柔らかくし、濡れた路面でも密着してしっかりとグリップする。
一方、「温度スイッチ」では、常温ではサマータイヤのような硬さを保ちながら、低温時にはスタッドレスタイヤのような柔軟性を発揮する。
つまり、通常、低い温度下ではゴムが硬くなる傾向にあるが、温度スイッチ機能により、硬くなりにくいゴムを開発しましたってコト。。氷上でも使えると、カタログにも明示されているのが嬉しい。
「氷上でもドンと来い!」なシンクロウェザーは、年間を通して対応できる、真の意味でのオールシーズンタイヤなのだ。まるでドラえもんの道具のよう!
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■普通のオールシーズンタイヤとの違い
では、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤ、そして「シンクロウェザー」にはどれほどの違いがあるのだろうか。タイヤの知識が豊富な『ベストカー』編集委員の梅木智晴さんに、シンクロウェザーについて伺ってみた。教えて! 梅木先生!
梅木さんは2月に北海道で、さらに5月には岡山のテストコースでタイヤを比較する2つの試乗テストを実施したそうだ。1つ目の北海道は、テストコースの氷上路面でのテストのみ。カローラツーリングで時速30キロからブレーキを踏んで何メートル先で停止するかの 制動距離を確認した。
結果、オールシーズンタイヤのAS1は35メートル、スタンダートタイヤのWINTER MAX02 (WM02)は28メートルで停止した一方で、シンクロウェザーはなんとスタッドレスタイヤであるWM02と同じ28メートルでしっかりと止まった。
2つ目は、5月の岡山のテストコース。水を撒いた専用コースでの円旋回テスト。一定の速度を維持しつつ、操作限界に達して外側に滑り出してしまう速度を測定したところ、プレミアムコンフォートタイヤのル・マン5+は55km/h前後、WM02は40~45km/hで滑り始めた。
そして注目のシンクロウェザーはなんと55~60km/hの範囲で、なんとプレミアムなルマン5+よりも高いグリップ性能を示したのである!
この試乗会を通じて、シンクロウェザーはサマータイヤに匹敵する性能を持ちながら、スタッドレスタイヤに近いグリップ力も兼ね備えていることがわかった。これぞ、ダンロップの本気!
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■あぁもう気になるぅ!! 運転させて!!
「百聞は一乗にしかず!」ということで、早速シンクロウェザーを試乗してみた。正直なところ、タイヤの知識が皆無な私にとって、タイヤの違いなんて感じられるの!? と不安だったが、こりゃたまげた。
ロードノイズがほとんど聞こえず、まるでワンランク上の車に乗っているような感覚に陥った! その静けさの秘密は、タイヤ表面の不規則なトレッドパターンにあるらしい。
これにより、音の出る場所や周波数が変わり、それらが互いに打ち消し合うことで、イヤホンのノイズキャンセリング機能のように雑音を低減してくれるという。なんだそれ! タイヤって奥深すぎない!?
ただ、カーブを曲がるときの安定感や、高速域での滑らかな操作感は、タイヤなのか、車の性能によるものなのか…と梅木先生に伝えると、
「それがまさに狙いだよ。サマータイヤと何ら遜色なく、普通に走れる、ということがすごいポイントなんだよね」と眩しい笑顔で教えてくれた。
確かに! 意識せず自然に走れるというのが、このタイヤの凄さだと実感した!
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■シンクロウェザーはどんな人におすすめ?
シンクロウェザーは、沖縄など、雪が降らない地域を除いて、特に雪があまり降らないエリアのドライバーにおすすめとのこと。
例えば、東京に住んでいる人が、関越自動車道を使ってたまに新潟に行くようなケースでも、このタイヤなら冬タイヤ規制にも対応できるから、安心してドライブを楽しめる。また、スキー場へのアクセスでもしっかりとしたグリップを発揮してくれる。
さらに、北海道や東北などの雪の多い地域に住む人々にも有効だ。タイヤ交換の時期になるとショップが混雑するが、シンクロウェザーを装着していれば、初雪の時期を問題なく乗り切ることができる。
春先のタイヤ交換も焦らず対応できるので、生活にも余裕が生まれるなんて、理想のタイヤすぎる! 北陸に住むお母さんにも勧めなきゃ!
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■でもお高いんでしょう…?
確かにシンクロウェザーは、普通のオールシーズンタイヤよりも少し高めの価格設定となっている。
シンクロウェザーの希望小売価格は15インチのモデルで1本21,450円から、18インチの最も高いモデルで1本65,780円と幅広い価格帯があるが、サマータイヤとスタッドレスタイヤを別々に用意するコストや、季節ごとにタイヤ交換を行う手間や工賃を考えれば、実はコスパ最強のタイヤなのだ。
タイヤ交換の度にショップに行って作業を依頼する手間や時間も不要になるため、忙しい現代人にとってはピッタンコ!
さらに、タイヤを保管するスペースの問題も解消されるのが大きな メリットの1つである。私みたいに、特にマンションやアパートに住んでいる人にとって、季節ごとにタイヤを保管する場所を確保するのは一苦労だが、 シンクロウェザーならそんな煩わしさからもオサラバだ!
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■これは多くの人を救うタイヤだ!!
日本は四季折々の風情を楽しめる、恵まれた国だ。冬はウィンタースポーツやお出かけが楽しい季節だが、冬の外出にはタイヤ交換がつきものだ。
しかし、「シンクロウェザー」はまさに救世主といえるだろう。たとえ 家賃をケチって、エレベーターのない家に住んでも、タイヤ交換のたびに重いタイヤを運ぶ苦労から解放してくれるのだ。
サマータイヤとスタッドレスタイヤの良いとこ取りをし、一年を通じてどんな状況でも快適なドライブを可能にするこのタイヤは、タイヤ交換の負担を軽減するだけでなく、経済的にも精神的にも(笑)理想的なアイテムである。
私もお金を貯めて、いつかこのシンクロウェザーを履きたいと思う! タイヤ交換とジャッキを手放せる日が来るなんて、夢にも思わなかった! ダンロップ、ありがとう! これからも末永くお世話になります!
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