クルマを購入する上で一番気にするのがやはり燃費であろう。それに加え近年環境への配慮の意識が高まる中で、トヨタ・ヤリスは圧倒的な地位を誇っているクルマと言っても過言ではない。しかし、このクルマに対抗するべく素晴らしいクルマが誕生しているのも事実である。では、どんなクルマがあるのか、鈴木直也氏の評価のもと、ランキング形式で紹介していく。
※本稿は2024年10月のものです
文:鈴木直也/写真:スズキ、トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱、日産、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年11月10日号
■普及している本物の環境車を上位に
1位はヤリスハイブリッド。日本人にとってヤリスはありふれた大衆車だけど、何も気にすることなく運転して30km/L台をマークする燃費性能のいかに凄いことか。
今では、ライフサイクル全体でのCO2排出量(LCA)という概念が一般化して、BEVといえども製造から廃棄までそれなりのCO2排出があるという事実が知られるようになったけれど、ヤリスハイブリッドのLCAに勝てるBEVはほとんどない。
LCAを正確に計算するのは難しいが、10万km走ってサクラとどっこいという試算もあるくらいだ。
しかも、ヤリスハイブリッドはざっくり200万円ちょっとで買える。途上国を含むグローバル市場を考えた時これはものすごく重要で、庶民でも買える(=たくさんの台数が売れる)環境性能最高のクルマという点が素晴らしい。
2位のサクラ、3位のアウトランダーPHEVともに、選んだのは同じく環境性能の高さからだ。
100kWh級の電池を積んで車重2トン半もあるBEVが珍しくないなか、サクラは軽自動車ベースで電池容量は20kWh。航続距離は180km(WLTC)しかない。この航続距離のネックは、ちょっと前までは致命的欠点だった。
しかし、幸いなことに日本には軽自動車というカテゴリーがあって、ご近所のおつかいなどに便利に活用されている。そこならBEVに置き換え可能。結果、日本ローカルではあるけれどダントツのBEVベストセラーになったわけだ。
アウトランダーPHEVは、SUV、ハイブリッド、BEVという3つの売れ線要素を、それぞれの特徴を生かしつつうまくまとめたのがお見事。折しも、欧米市場では失速したBEVの代わりにPHEV需要が急速に高まっているわけだが、まさに三菱には先見の明があったということだね。
同じく3位としたロードスターはスポーツカーの世界的アイコン。5位のランクル300はオフロードSUVとしてのブランドを世界で確立している。
スイフトは質のいいBセグコンパクトとして世界一コスパのいいクルマ。もちろん、もっと安いクルマはたくさんあるけど、質とのバランスにおいては無敵だね。
次のレクサス LMは、日本オリジナルと言っていいLクラスラグジュアリーミニバンの最高峰だ。
以下、シビック、クロストレック、コペンも、キャラはそれぞれ異なるが日本が世界に誇れるクルマ。その魂は、高品質なクルマをバリュープライスで売るという精神で、短期のボロ儲けを狙わず長期的な信用を重視する姿勢がいい。
●鈴木直也氏が選ぶ世界に誇る日本車トップ10
・第1位:トヨタ ヤリス(ハイブリッド)
・第2位:日産 サクラ
・第3位:三菱 アウトランダーPHEV
・第3位:マツダ ロードスター
・第5位:トヨタ ランドクルーザー300
・第6位:スズキ スイフト
・第7位:レクサス LM
・第8位:ホンダ シビック(e:HEV)
・第9位:スバル クロストレック
・第10位:ダイハツ コペン
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