幅広い年齢層で人気のあるトヨタ『GR 86』/スバル『BRZ』はカスタマイズ要素も非常に多い。今回はハイパワーチューニングからブレーキチューニング、エアロ、車高調、マフラー、カーナビゲーション、スピーカー交換まで各社の特徴あるデモカーが集結して一斉テストを行ってみた。

HKS

HKS × TOYOTA GR86

8月末からリリースになったばかりのボルトオンターボキットがHKSの注目商品。GR 86に対してはすでにスーパーチャージャーキットは発売されており、ノーマル235psに対して297psを発揮。パワフルな走りを実現していたが、今回登場したターボキットはさらに凄く、排気量が2.4Lになったことで大きなタービンを低回転から回せるようになり、ノーマルの235psに対して366psと軽く126psアップが可能になった。

2200rpmから過給して淀みない加速は高回転へ
速さと気持ちよさが極上!!

HKS × TOYOTA GR86

実際に乗ってみるとその爽快感に驚かされる。スタート付近の出力は今どきの直噴高圧縮エンジンそのままなので、トルクもありキビキビと乗りやすい。アクセルを踏んでいくと2000回転をちょっと超えたあたりから過給が始まる。これはかなり低回転からタービンが仕事をしている。HKSの細田優太さんに聞くと、「先代用のターボキットと同じくGTIII-RSタービンですが、低中速域を重視したモデルをチョイスしています」という。

過給が始まるとめちゃくちゃ速い。細かい表現は置いておいて、「速っ!!」という言葉しか出てこないほど速い。低回転重視のタービンと言えど、7000rpmオーバーのレッドゾーンまで一気に淀みなく吹けていくのが最高に気持ち良い。中高回転はGR 86らしいエンジンがビンビン回るところをさらに過給しているのでめちゃくちゃ速いが、フィーリングはNAそのままで回す気持ちよさが失われず、むしろ洗練されている。

これでもまだタービンには余裕があり、インジェクターを大容量化するキットを取り付けて、ブーストコントローラーで過給圧を制御すると400psオーバーも可能だというが、出力に応じてクラッチやエンジン内部の強化が必要とのこと。

組み合わせられるサスペンションはHIPERMAX R。サーキット向けでバネレートも高めの設定。フロント9kg/mm リア10kg/mmとややハイレートでロールやピッチングを抑える。硬めだが、短いストロークの中でしっかりと動いてくれるので不快感は最小限。今回のデモカーはタイヤにハイグリップラジアルのADVAN A052を履かせていたが、それでいて十分な乗り心地を確保されている。さすがの味付けなのである。

ちなみにタイヤサイズは255/35R18とGR 86としては最大レベルのサイズ。組み合わせるホイールはADVAN Racing RG-4。18×9.5J 45で前後ともに美しく収める。見た目にも走りにもGR 86チューンの新たな展開がスタートしている。

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ENDLESS

ENDLESS × TOYOTA GR86

エンドレスはブレーキパーツとサスペンションを開発製造するメーカー。デモカーには前後キャリパーキットとサスペンションを装着している。ブレーキはどちらも鍛造アルミ製2ピース構造のキャリパーキットをチョイス。フロントに6POT LIGHT(ローター径φ340mm×30mm)、リアにRacing4(ローター径φ330mm×28mm)を装着している。

エンドレスのブレーキキャリパーのラインアップは多岐にわたる。もっともエントリー向けモデルはM4&S2という組み合わせで、ローター径がやや小さめのφ326mm&φ316mm。今回のキットはそこからローター径が大きく、ややキャパシティが高まったものとなる。ちなみにキャリパーのピストン数を増やすメリットについて聞くと「点では無く面で押す事ができるようになりコントロール性が向上して、より繊細なブレーキングが可能となります」とエンドレス広報の末吉さん。

サスペンションも自社オリジナルで内製している。今回のデモカーではもっともストリート向けセッティングの「Function-IMA SC」を装着。今回はそこに前後ともプライマリースプリングをオプション装着した状態となる。

意のままにブレーキを制御可能
ここまでの感覚は初めて!!

ENDLESS × TOYOTA GR86

装着パーツはブレーキとサスペンション程度。タイヤも純正の215/40R18 ミシュランPS4。まず走り出して感じるのは、サスペンションの質感の高さ。ハンドルを左右に切っていくときの反応がしっとりとしている。しっかりと細かなストロークのところから減衰力が出ているからこそ、路面からの衝撃をいなして手にしっとりとした感触を伝えてくれる。その領域は精度の高いサスペンションであるからこそ得られるもの。

SCのバネレートはフロント7kg/mm リア6kg/mmでソフト目ではあるが、サーキット走行なども十分にこなせる設計。減衰力は20段階調整で今回はフロント6段戻し。リア8段戻しあたりがワインディングにベストマッチだった。

そしてブレーキは圧巻の性能。踏み始めからのペダルタッチはやや硬めだが、ストロークをしないような硬さではない。剛性感がアップしていて踏んだ分だけ効きが高まる。そこから強く踏んでいくとABSが介入していくが、そのABSが入るか入らないかのギリギリのゾーンを簡単に狙ってブレーキングができる。

わずかにABSを入れたり、そこから瞬時に回復させたりという繊細な操作がしやすい。これは今回のブレーキパッドであるSSM PLUSの、踏み足すごとに効きが高まる特性とマッチしている。前後バランスもよく4輪で路面を掴んで制動していく感触がある。ブレーキは飛ばさなくても使うもの。いつでも走りを楽しめるクルマに仕上げられている。

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BLITZ

BLITZ × TOYOTA GR86

BLITZが提案するGR 86/BRZチューンは吸排気パーツと足まわりで気持ち良さを高めている。今回のデモカーには吸気系にカーボンインテークシステムを装着。カーボン製の大容量エアクリーナーボックスは、純正位置から外気を取り込むのに加えて、純正ではチャンバー構造になっている側からも走行風を取り込むことが可能。内部にはむき出しタイプのステンレスメッシュフィルターを備え、効率よく冷たい空気をエンジンに供給できる。排気系は最新モデルとなるチタン製マフラーを装着。すでに2本出しのF-Tiは発売されているが、さらなる軽さを狙って1本出しのモデルも追加での発売となった。

そして仕上げはECU。GR 86/BRZについてはECU本体を送付してBLITZで書き換えるタイプのECUチューンを提供。

足まわりはBLITZの代名詞とも言えるサスペンションであるDAMPER ZZ-Rを装着。そこには遠隔で減衰力調整ができるSpec DSC Plusが備えられている。DAMPER ZZ-Rはスポーツ走行向けの単筒式構造を採用。メインフィールドはストリート&高速道路と言うが、ミニサーキットでも十分に楽しめる仕上がり。そこにキャリパーキットもセット。こちらは鍛造2ピースキャリパーを前後に装着するタイプ。パッド自体も2種類あり、今回はストリート向けパッドでの試乗となった。

加速サウンドとフィーリングは最高
唸るエンジンが気持ち良い

BLITZ × TOYOTA GR86

デモカーはサスに吸排気系、ECUチューン、キャリパー装着というライトチューンの完成形的な仕様。タイヤはDIREZZA ZIII 255/35R18を前後に装着している。走り始めて最初に気づくのがアクセルレスポンスの良さ。吸気系の抵抗の少なさと、マフラーの排気効率の良さから明らかにエンジンの反応が良い。クルマの動きが軽く感じられる。

そこから加速していくと圧巻なのがそのサウンドとフィーリング。これには思わず同乗して担当編集のF氏と「おお~っ!!」と言ってしまうほどの気持ち良さ。エンジンが唸っていく音と、後方からは澄んだエキゾーストノートが響き渡る。この前後のバランスが絶妙で最高に気持ち良い。エンジンを回していくと唸っていくのである。

サスペンションはしなやかに路面を捉えてくれる。Spec DSC Plusは走行ステージに合わせての自動調整があり、高速道路やワインディングなどに合わせて最適な減衰力にしてくれる。あえて手動で減衰力弱めからテストしてみると、緩めにしておけば極めて快適。そこから締め込んで行くとハンドルはガッチリと重くなり、重厚なフィールとなる。

ブレーキは剛性感あるタッチがこれも気持ち良い。ローター径がアップされているがガツンと効いてしまうことなく、絶妙に調教されているので扱いやすい。BLITZのチューニングパーツはどれも気持ち良さが極上。さらにフロントリップスポイラー、サイドとリアのディフューザーに、リアウイング+前後のオーバーフェンダーとオリジナリティをアップさせるエアロパーツなど、GR 86/BRZでのドライブを最大限の楽しめるようになるパーツが揃っている。

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TEIN

TEIN × TOYOTA GR86

サスペンション専門メーカーであるTEIN。今回デモカーに装着したのは「RX1」と「EDFC5」。「RX1」はミドルモデル的な存在で、ストリート性能に優れる複筒式構造を採用した全長調整式車高調である。そんなテインのサスペンションは多数の機能と調整機構が用意されていて、ユーザーの満足度を高めてくれるのがポイント。

1:ハイドロバンプストッパー
ショックアブソーバーが底突きすると乗り心地がガツンと感じられる。そこでそれを防ぐために生まれたのがハイドロバンプストッパー。これはバンプラバーの代わりにストロークが最後の方まで来ると油圧によってストロークを抑える独自の機構。「ジワッ」とストロークが止まるので不快に感じにくい。

2:EDFC5
EDFCは電子式減衰力調整コントローラー。もともとは室内から減衰力を変えられるコントローラーとして誕生。先代のEDFC ACTIVE PRO時代から、速度や前後・左右の加速度によって減衰力を変える機能があった。そこにEDFC5で加えられたのがジャーク制御。「ジャーク」とは、単位時間あたりの加速度の変化量を示す値。ジャーク制御は、ステアリングを切った瞬間や、アクセル、ブレーキを踏んだ瞬間に減衰力が調整され、4輪のタイヤ性能を引き出してくれる。また、EDFC5はAI機能もあり、ドライバーにあった減衰力調整を自動で行ってくれる。

3:キャンバー角調整機構
GR 86などストラット式のフロントサスペンションの場合、ナックル部の接続ボルト部でキャンバー角調整が可能。だがキャンバー角がズレてしまうことがある。そこでテインではこの部分にキャンバー調整カラーを入れることでキャンバー角調整を可能にした。キャンバー調整カラーは2種類同梱されているため、キャンバー角は計4種類から変更が可能。またキャンバー調整カラーを別で購入することでさらなる調整幅とすることが可能。

極上の乗り心地と収まりの良さ
EDFC5にしかない性能がある

TEIN × TOYOTA GR86

実際に乗ってみると、それらの機構から生まれる新たな乗り味に驚かされる。まず、基本的な機能としてはフリクションの少ない複筒式車高調らしくしなやかに動く。GR 86の純正サスペンションと同等かそれ以上にソフトな乗り心地が可能。だが、そこでワインディングでペースアップしていくと、もう少し安定感が欲しくなる。そこで室内から減衰力を高めてやれば、しっかりとその効果は現れ、ジワッとクルマの動きを引き締めてくれるようになる。

そこでさらにEDFC5の特徴であるジャーク制御を使った自動調整をONにしてみる。するとハンドルを切っていくと瞬時に減衰力が高まる。それによってジワッとクルマの動きは抑えられ、フワフワ感は一掃される。しかし、回り込んだコーナーでは徐々にジャーク制御によって減衰力はソフトになっているので、初期のグラリと揺れて怖いロールスピードの速さは抑えつつも、コーナーの奥では減衰力が緩められ足まわりはしなやかに動いてくれる。

また、ハイドロバンプストッパーの効果で、コーナリング中に橋の段差に突っ込んでも「ドカン」とした衝撃が来ない。懐の深い新たな世界を見せてくれるサスペンションなのだ。これだけの性能、機能とその価格は高いバランスを持っていると言える。

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Pioneer carrozzeria

carrozzeria × TOYOTA GR86

走りに注力されることの多いGR 86だが、もちろん普段使いも重要視しているユーザーも多いだろう。そこでカロッツェリアでは車高調整式サスペンションやレーザー&レーダー探知機など「BLITZ」商品を装着したGR 86に最新のカロッツェリア商品を搭載して、より楽しくカーライフを充実させる提案を行っている。

カーナビゲーションにはカロッツェリアのフラッグシップとなるサイバーナビ『AVIC-CQ912IV-DC』を装着。9型の大画面は操作キーまでディスプレイと一体化した完全フラットパネルで車室内の雰囲気を壊さずにスマートにインストールされている。DCモデルは時間・容量無制限のdocomo回線を使用した車内Wi-Fiが構築出来る(1年間無償使用権つき)ので、ストリーミング系のエンタメ機能も思う存分使う事が出来るのは非常に嬉しい。カーナビゲーションとしての能力は当然高く「スーパールート探索」という独自の専用サーバーと通信してルートを設定するので最適かつ効率的なルートを提案してくれるし、GPS・ジャイロ・車速を使用してスマホナビでは出来ない安全で正確なルートを示してくれる。

スピーカーには7年ぶりのフルモデルチェンジとなる『TS-C1746S』が装着されている。クリアで深みがあり、臨場感あふれるサウンドを聴かせてくれるハイレゾ対応スピーカーだ。優れたコストパフォーマンスで、始めてスピーカーを装着するユーザーに人気が高い。ドアへ取り付けるときに使用するバッフルも、スピーカーの性能を引き出すハイブリッドメタルダイキャストインナーバッフル『UD-K621』を使用して、より高音質を引き出している。

使いやすさや見やすさはさすがサイバーナビ
音やエンタメ機能も含めてカーライフが確実に充実する

carrozzeria × TOYOTA GR86

カーナビゲーションの基本となるルート探索の使いやすさはもちろんの事、リアルタイムの渋滞情報まで含めて検索するので信頼度は非常に高い。そして一番の利点はスマホナビと違ってトンネルなど電波の届きにくい場所でも自車位置がずれることがなく、安心感を持って知らない道でも走って行ける。車内Wi-Fiを使えばデータ容量を気にせず音楽をストリーミングで聴き続けたり、同乗者が映像系コンテンツを見続けることも可能だし、何よりオーディオ機器としても厳選した音質パーツを採用し、サイバーナビ史上最高音質を謳う実力だ。

実際に音楽を再生してみると透明感がありながら歯切れの良い低音まで心地よく再生してくれる。BLITZとのコラボデモカーということで、スポーツカーとして心地よく感じられるサウンドと喧嘩するのでは?と疑問もあったのだが、良い音同士であればお互いを邪魔せずに、より魅力的な音に感じられたのは驚きだ。そして最後に、サイバーナビには細かく音響設定出来る調整機能があるのだが、GR 86に関してはメーカーが突き詰めた設定データを無料公開しているのであっという間に最適な音響空間を構築出来るのだ。サイバーナビ+スピーカーの組み合わせであればより魅力的な愛車に仕上がるだろう。

carrozzeria × TOYOTA GR86サイバーナビに設定するGR 86チューニングデータはこちら

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