高速道路での逆走がニュースで頻繁に取り上げられている。逆走はダメと思いながらも、バックで数mなら大丈夫と思っている人もじつはいる。そこで今回は、「これくらいは大丈夫だろう」と思いがちなガチ違反について。

文/山口卓也、写真/写真AC

■“逆走”は高齢者が起こすもの!?

逆走は高齢者だけのものではない。なかには、料金所を通り過ぎてしまい、「ほんのちょっとだから、逆走して戻っちゃおう」と、故意に逆走をするドライバーも多いのだ

 高速道路での逆走がお盆休みにニュースで多く取り上げられていた。「逆走は高齢者が起こすもの」という認識があるかもしれないが、逆走は高齢者でなくとも起こしうる。

 実際、国土交通省(平成23~28年)の調べによると、逆走を起こした年齢層は75歳以上が45%と多いものの、30歳未満でも8%、30~65歳未満で25%、60~75歳未満で22%。この数字を見ると、逆走は決して高齢者だけが起こしているものではないことがわかる。

●逆走の5つのパターンとは?

 NEXCO東日本によると、逆走には5つのパターンがあるという。

・目的の出口を通り過ぎてしまい入口車線を逆走
・目的の出口を通り過ぎてしまい本線上でUターン
・行き先を間違え本線を逆走
・目的の出口を間違えUターン
・料金所を通過後、出口車線を逆走

 これらはいずれも、クルマが“前進”して逆走に至っているパターン。

 しかし、パターン2つめの「目的の出口を通り過ぎてしまい本線上でUターン」に関しては、Uターンはしていないが後進(バック)してクルマのアタマを出口に向け、前進して出口へ向かおうとしているクルマを見かけたことがある。

●後進(バック)でも違反になる

 ETCの料金所で前車に何かトラブルがあってゲート内で停車したため、後続車がバックで方向を変え、隣の料金所に移動しているのも見かけたことがある。

 また、一方通行で進入禁止の道路の少し先に目的地があるため、バックで道路に進入しているようなクルマを街中で見かけたことはないだろうか?

 前進しての逆走は「さすがにそれはダメでしょ!」と思っている人でも、ほんの数mくらいいいだろう……と思いがちだが、これらも逆走にあたり、道路交通法違反。違反すると、普通車で反則金9000円、違反点数2点となる。

 それは高速道路でも同じで、出口をうっかり見過ごしそうになって数m過ぎ、少しだけ後進して出口に向かう行為は「少しだから大丈夫じゃないの?」と勘違いしている人がいるようなので要注意!

 反則金はたったの9000円だが、もし高速道路での逆走によって死傷事故を起こしてしまうと“通行区分違反”から“過失運転致死傷罪”に問われ、場合によってはさらに重い罪である“危険運転致死傷罪”になる場合がある。

 危険運転致死傷罪が成立すると、1年以上(20年以下)の有期懲役、被害者が負傷すれば15年以下の懲役と非常に重い罰則となる。もちろん、これは一般道でも同じだ。

 高速道路に限らず、逆走は事故発生率が非常に高い行為であることを認識し、絶対に起こさないようにしたい。

■軽車両である自転車は逆走や逆駐が多い!

 「自転車は原則車道、やむを得ない場合は歩道を通行することができる」というルールは随分と浸透したように思えるが、それでも車道左側を対向車のように向かってくる自転車の逆走はまだまだ多い。

 また、“逆駐”とは「逆向き駐車」のことで、進行方向に対して、反対車線に進行方向と同じ向きのままクルマ(や自転車)を停める行為のこと。

 駐停車の方法は、「歩道や路側帯のない道路では、道路の左端に沿うこと」「歩道や路側帯のある一般道路では、車道の左端に沿うこと」とされている。

 驚くかもしれないが、これらに違反すると自転車でも交通違反となる。2024年5月に自転車に関する改正道交法が参院本会議で可決され、2年以内に施行されることになった。16歳以上の自転車運転者には、逆走を含む数多くの違反が反則金制度の対象となり、具体的な反則金は今後定められるという。

 今回の改正で、自転車の運転者はこれまで以上に交通ルールを意識すべきだろう。

●自宅前に逆駐しても違反?

 「荷物の積み下ろしを考えると、逆向きに駐車したほうが都合がいい」のか、自宅前に逆駐しているクルマを見かけることがある。

 また、住宅街の配達車両にも逆駐を見かける。これらも同じく道路交通法違反。「え? こんなに短い時間なのに?」と思うかもしれないが、逆走と同じく度合いに関わらず違反は違反である。

■高速道路で目的の出口を過ぎてしまったら?

スマートETCの場合は、ゲート脇に設置してあるインターホンで事情を説明すれば係員が指示をしてくれる

 ここで記事冒頭に戻り、「では、出口を少し通り過ぎてしまった場合はどうすればいいの?」という人に。

 高速道路出口を少し通り過ぎることはたまにある。筆者も20年ほど前に経験済みだ。この時は、次のインターチェンジで降り、人がいる料金所で事情を説明したらUターン法を教えてくれ、ことなきを得た。

 正しい方法は以下のとおり。

・目的の出口を通り過ぎてもUターンや後進せず、そのまま走行して次のインターチェンジへ

・インターチェンジ出口では一般、もしくは“サポート”と標示のあるレーンへ。ETC搭載車は事前にETC車載器からカードを抜いて、料金精算前に係員へ事情を説明

・係員が目的のインターチェンジまでの戻り方を説明してくれるので、それに従う

 気になる高速料金は、当初流入インターチェンジから目的インターチェンジまでとなり、間違えた区間の料金はかからない。

 また、間違えて高速道路に流入してしまった場合も、入口料金所の通行券を取る機械にインターホンがあり、そこで事情を説明すると正しい方法で戻ることができるので覚えておきたい。

 ただし、インターチェンジの構造によっては、上記の対応ができない場合があることも知っておこう。

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