2024年9月に登場したアウトドア風軽スーパーハイトワゴンの「N-BOX JOY」。大人気モデルであるN-BOXをベースに、エクステリアにアウトドア風味溢れる専用装備を満載し、インテリアにも、チェック柄の撥水ファブリックなど、アウトドアシーンを想定した装備を備えた。ベース車よりもフロア後端を80mm高くして足を伸ばせるようにした「ふらっとテラス」なども特徴的だ。

 このN-BOX JOYのような軽スーパーハイトワゴンのSUV風といえば、いま大注目のカテゴリ。激戦となっているアウトドア風軽スーパーハイトワゴンそれぞれのよさを比較してみよう。

文:吉川賢一/写真:SUZUKI、DAIHATSU、MITSUBISHI、HONDA

後席乗員への配慮が行き届いている、スペーシアギア

 2024年9月20日にフルモデルチェンジとなった、スズキ「スペーシアギア」。今作も、同社の軽スーパーハイトワゴン「スペーシア/スペーシアカスタム」をベースに、アウトドアライフに寄り添う専用のデザインと装備が投入されている。

 エクステリアデザインは、ジムニー顔に似せた丸目ヘッドライトとフロントメッキグリルが特徴的で、ボディサイドに引かれたキャラクターラインも、アウトドア風味に溢れ、お洒落でカッコいい。内外装のオレンジのアクセントも、スペーシアギアの個性を強調している。

 筆者が特に素晴らしいと思うのが、後席シート周りの装備だ。軽自動車では珍しいオットマン(正式名称はマルチユースフラップ)が備わっており、フラップの位置や角度を調整することで、オットマンやレッグサポートとして使う以外に、荷物の落下防止にもなる。左右独立の後席リクライニングや後席センターアームレストがあるのもありがたい。後席乗員への配慮が行き届いているのが、スペーシアギアのポイントだ。

スズキ「スペーシアギア」。価格は税込195万円~229万円。WLTCモード燃費は、HYBRID XZ(2WD)が23.9km/L、HYBRID XZターボ(2WD)が21.9km/L
フラップの位置や角度を調整することでオットマンや脚のサポート、荷物の落下防止にも活用できるマルチユースフラップが優秀。加えて、後席はリクライニング角度も調整できるので快適に過ごせる
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4WDは悪路での走りに優れる、三菱「デリカミニ」

 三菱の「デリカミニ」は、2023年5月に登場。同社の「eKスペース」/日産「ルークス」をベースに、半円の丸目ヘッドライト、(マイチェン前の)デリカ風グリルを用いたフロントマスクを装備して、165/60R16サイズの大径タイヤの投入したことで、大きく生まれ変わった。「デリ丸。」をキャラクターとしたコミカルなCMも、その人気に一役買っているだろう。

 デリカミニの特徴は、4WD専用の足回りによる「走りのよさ」だ。大径タイヤの装着と同時に車高を上げ、その姿勢に合わせて、ショックアブソーバー特性を調節しており、本家デリカD:5とまではいかないが、大きなバンプのあるラフロードでも、豊かなサスペンションストロークを感じられるのが心地よい。

 こうした特徴と「デリカミニ」という名のイメージから、アウトドアシーンでの走破性に期待するファンが多かったようで、初期受注の6割が4WDだったそう。ネックはターボ4WDの燃費が悪いことだが、そのぶん走りには余裕があるので、ぜひとも試してみてほしいと思う。

三菱「デリカミニ」。価格は、税込183万円~227万円。WLTCモード燃費は、標準2WDが20.9km/L、4WDが19.0km/L、ターボ2WDが19.2km/L、ターボ4WDが17.5km/L
フルタイム4WDはラフロードでも安心して走行できる。また4WD専用のダンパーセッティングは絶妙で、ラフロードでの走行安定性が高く、乗り心地も快適だ

比較的手に入れやすい価格が魅力、ダイハツ「タントファンクロス」

 同社の軽スーパーハイトワゴン「タント」をベースに、アクティブ感とタフさを追加して、2022年10月に登場した「タントファンクロス」。アウトドアテイストを持たせたフロントハンバーやサイドモール、ルーフレール、専用ホイールなどを装着しているほか、撥水シートや防水加工シートバックなど、アウトドアで役立つ装備はひととおりあり、車両価格も控えめなところがポイントだ。もちろん、タントの最大の特徴であるミラクルオープンドアも備える。

 ただ、ミラクルオープンドアは、確かに荷物の出し入れの際には便利ではあるが、アウトドアレジャーにおいては、虫や煙、灰などの侵入を防ぐため、ドアを開きっぱなしにすることは意外と少ないことも考えられ、アウトドアシーンと必ずしも相性がいいとは限らない、という面も。

 加えて、ダイハツには、ずばりアウトドア愛好家を狙った「タフト」がある。オフロード向けSUVのようなスタイリング、ガラストップ、運転のしやすさ、そして税込132万円~という低価格が魅力的で、実際にタフトはよく売れている。タントファンクロスを街中で見かける機会が少ないのは、タフトが優秀すぎるためかもしれない。

タントファンクロス 税込177万円~202万円。WLTCモード燃費は、2WDが21.9km/L、ターボ2WDが20.6km/L
オフロード向けSUVのようなスタイリング、ガラストップ、運転のしやすさ、そして税込132万円~という低価格が魅力のタフト。2024年10月には7000台近く売れている

N-BOX JOYはインテリアがおしゃれ

 N-BOX JOYは、スペーシアギアやデリカミニ、タントファンクロスに比べて、やや訴求ポイントに欠けるが、これらの中ではダントツでおしゃれ。特にインテリアは、チェック柄のシートカバーやシートバックカバーを標準装備するなど、ほかのモデルにはないおしゃれさで、より気軽にアウトドアの雰囲気を味わうことができる。

 車両本体価格も、N-BOX JOY(NA、FF、モノトーン)で税込184万円、2トーンの場合は197万円からと、JOY専用装備品が多数ついている割には、リーズナブルといえるかもしれない(ちなみに、N-BOXが税込168万円から、N-BOX カスタムが186万円から)。もちろんHonda SENSINGは標準装備だ。

 どれもベース車の出来がよいため、どれを選んでも外れはないが、それだけに、購入する際には悩ましい選択を迫られることになる。さて、あなたならどれを選ぶ??

王者N-BOXをベースとした、待望のアウトドア風仕様N-BOX JOY
後席シートを畳むと、シートバックに装着されているチェック柄マットがあるなど、アウトドア風軽スーパーハイトワゴンの中では、ダントツでお洒落だ

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