カーオーディオ・フリークから羨望の眼差しを向けられている、または多くの愛好家に使われている“逸品”を1つずつ取り上げ、それらが“逸品”たり得ている理由を紐解いている当連載。今回はフランス発の実力ブランド「フォーカル」の新旗艦スピーカーにフォーカスする。
◆名ブランド「フォーカル」の、カー用スピーカーの実質的旗艦ライン、『Utopia M』!
「フォーカル」は、押しも押されもせぬ世界的なスピーカーのリーディングカンパニーの1つだ。設立は1979年と古く、長きにわたりカー用、ホーム用問わずスピーカーの名機をさまざま世に送り出してきた。
ラインナップが豊富であることも特長だ。ホーム用、カー用ともに、ド級のハイエンドモデルから廉価なエントリー機まで幅広く製品を用意する。カー用のスピーカーでは超ハイエンドモデル『Utopia Be ULTIMA(ユートピア ビー ウルティマ)』を頂点として、取り付け性の高さを誇る初級ライン『カスタムフィットモデル』まで多彩に選択肢を居並べる。
ちなみに『Utopia Be ULTIMA』は、ツイーター、ミッドウーファー、サブウーファーにて構成される3ウェイコンポーネントキットだ。そしてその税込価格はなんと、220万円。ここまで高級なカースピーカーは、世界中を見渡してもそうそうない。まさしくマニア垂涎のひと品だ。
で、今回紹介する『Utopia M(ユートピア エム)』はそれに続く2ndラインだが、『Utopia Be ULTIMA』は言ってみればシンボリックな存在であるので、当シリーズが実質的なフラッグシップラインと言って良い。実際当シリーズには、「フォーカル」ならではの独自技術が多々盛り込まれていて、同社の看板を張るに相応しい高い実力を携えている。
『フォーカル・Utopia M』がインストールされたオーディオカーの一例(製作ショップ:パラダ<福井県>)。◆システム構成の自由度の高さも特長! 後のシステムアップもやりやすい!
では、『Utopia M』のラインナップを紹介していこう。当シリーズは、5つの単品ユニット(34mmツイーターと165mmウーファーのみペア販売、それ以外は1ピース販売)と1つの2ウェイコンポーネントキットにて構成されている。単品ユニットの顔ぶれは以下のとおりだ。
34mmツイーター『TBM』(税込価格:19万8000円)、87.5mmミッドレンジ『3.5WM』(税込価格:6万500円)、165mmウーファー『6WM』(税込価格:18万150円)、200mmウーファー『8WM』(税込価格:12万6500円)、250mmサブウーファー『SUB10WM』(税込価格:14万8500円)、以上の5機種が名を連ねる。ちなみに、パッシブクロスオーバーネットワークは用意されていない。つまりアクティブクロスオーバーにて制御することが前提となっている。
で当シリーズは、これらを自由にチョイすることでさまざまなシステムを組めることも特長だ。『TBM』と『6WM』とを組み合わせた2ウェイ、そこに『3.5WM』を加えた3ウェイを組めるばかりか、『6WM』のかわりに『8WM』を使っても面白く、またこれらすべてを導入して5ウェイにするのもアリだ。さらにはドアに取り付けられているミッドウーファーが小口径である車種でも、ツイーターと『3.5WM』とを組み合わせて『Utopia M』サウンドを楽しめる。
フォーカル・Utopia M◆すべの機種に「Mインバーテッド振動板」を採用し、統一感の高いサウンドを再生可能!
続いては、当シリーズに投入されている技術の詳細を説明していこう。
最大の特長はズバリ、シリーズ名の由来ともなっているM型断面の「Mインバーテッド振動板」がすべてのユニットに採用されていることにある。なのでどのユニットをチョイスしてシステムを組んでも音色と位相が揃いやすく、フラットな周波数特性と優れた指向特性とが実現されたナチュラルサウンドを満喫できる。
なおツイーターの振動板には、『Utopia Be ULTIMA』のツイーターにも採用されている高級素材、ピュアベリリウムが使われている。そして各機とも、取り付け性が高いこともストロングポイントだ。振動板の構造的な利点も活かされ取付奥行き寸法が短いのだ。『6WM』のそれは51.5mmで、200mmウーファーの『8WM』でも52mmに抑えられている。
そして2ウェイコンポーネントキットの『165W-XP』(税込価格:24万2000円)も魅力が高い。当機には「Mインバーテッド振動板」こそ採用されてはいないものの、TMD:チューンドマスダンパーやピュアベリリウム・ドームツイーターなど、『Utopia M』シリーズの技術的特徴が存分に継承されている。そしてその上で価格が手頃だ。コスパの高いハイエンドスピーカーを探しているのなら、当機のチェックもぜひに。
今回は以上だ。次回以降もさまざまな“逸品”を紹介していく。お楽しみに。
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