いまや3ナンバー車はありふれた存在だが、1989年の自動車税改正前はとんでもない高嶺の花だった。その自動車税の改正をいち早く察知してデビューしたのが三菱ディアマンテ。堂々とした3ナンバーボディはカッコよかったなぁ!

文/ベストカーWeb編集部、写真/三菱自動車

■昔は5ナンバーと3ナンバーにデカい格差があった

1989年4月1日から自動車税が変わり、3ナンバー車が増えて行った

 1989年まで、乗用車は2つに分かれていた。一つは5ナンバー。もう一つは3ナンバーだ。

 いまでこそ3ナンバーは当たり前だが、当時は違った。エンジン排気量に加えてボディサイズも自動車税の条件で、5ナンバー(排気量2L以下、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2m以下)の枠をわずかでも超えれば、ビッグな税金が課される仕組みだったからだ。

 その税額だが、5ナンバー枠を排気量1cc、長さ1cmでも超えれば8万1500円、エンジン排気量が3L超なら8万8500円、6Lを超えると14万8500円というぶっ飛んだもの。2L車の自動車税が3万9500円だったから、5ナンバーと3ナンバーの「格差」が想像いただけるだろう。

 ところが大事件が起きる。5ナンバー枠なんて考えずに作られる輸入車(特にアメリカ車)メーカーから、「この税制は非関税障壁だ」というクレームが起き、5ナンバー/3ナンバーによる自動車税の格差がなくなった。1989年4月1日のことだ。

 これ以降の自動車税は、ボディサイズによる規程がなくなり、排気量を500ccずつ区切って課税されるようになった。さすがに3Lを超えると5万8000円と結構な金額になったが、少なくとも3Lクラスまでは、たとえ全幅が1.7mを超えようとも、庶民が手の出せる税額になったのだ。

■隣のクルマよりちょっと贅沢な2.5Lモデルがよかった!

1990~1991年に日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞したディアマンテ

 この税制改革は、日本の自動車マーケットにも絶大な影響を及ぼした。ボディサイズを大きくしても排気量が小さければ税金は変わらないとあって、庶民がこぞって3ナンバー車を買い始めたのだ。

 中でもその恩恵を最大限に利用したクルマが、三菱のディアマンテだ。

一説によると三菱は、1989年に自動車税が改正されることを早期に掴んでおり、そのため全長4.7m超、全幅1.7m超の車体を早くから開発することができた。実際ディアマンテは自動車税改正の6か月後にプロトタイプを公開、13か月後に実車を発売しているのだ。

 こうして登場したディアマンテの風貌は、並みいるライバルとは迫力が違っていた。当時の競合だったマークIIやスカイラインが5ナンバー枠に縛られていたのに対し、ディアマンテは一回り大きく、押し出しが聞いていたのだ。

 もう一つ、ディアマンテが優れていたのが、ちょっとの背伸びで手が届く2.5Lエンジンを用意したことだろう。当時2Lエンジンと2.5Lエンジンの自動車税の違いはたったの6000円。これで憧れの2Lオーバーのクルマに乗れるとあって、2.5Lモデルは圧倒的な人気グレードとなったのだ。

 比較的安い値段設定や4WDモデルの投入といった施策も成功し、1990~1991年に日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞したディアマンテ。日本のクルマ史に名を刻む、偉大な1台といえよう。

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