チューニングで大幅なパワーアップをするには膨大な費用が掛かるし、もともとのエンジンの限界もある。そこで行われるのが異なるエンジンを載せるチューニングだ。
抵抗のある人も多いがアメリカでは人気のチューンで、とりあえずV8 5.7Lを積んだチューニングカーも珍しくない。日本でもある程度行われている定番の組み合わせもある。
1:シルビアにRB26搭載
シルビアはS13登場時はCA18エンジンを搭載。その後、SR20エンジンになり、S13後期型とS14/S15とSR20のNAもしくはターボエンジンが搭載されていた。
直列4気筒、2.0LエンジンのSR20は軽量で十分なパワーを持っていたが、もっとハイパワーを求めるユーザーも多かった。そこで目をつけられたのがスカイラインGT-Rに使われていたRB26だ。
その名の通り2.6Lの排気量がある6気筒エンジンはツインターボを組み合わせてR32/R33/R34 GT-Rに搭載。国内最強とも言われるエンジンユニットとなった。ならば、そのエンジンを積んでしまえと実践したお店もあった。
同じ日産のエンジンだが6気筒なのでスペース的には厳しい。それでも入らないことはなく、エンジンハーネスなどもコンバージョンキットを作っているお店がいたり、都度ショップで製作していたようだが比較的実践例の多いパッケージだ。
2:AE86に3S搭載
AE86は1.6Lの4A-Gが搭載されている。名機と呼ばれるエンジンではあるが、決してパワフルとは言えない。そこで5.5A-Gや7A-Gなどが製作されたが、それらは正式な名称ではなく、排気量アップをしたものをその度合いによって5.5や7と呼んでいたのである。
数百ccの排気量を上げるのにピストンを変え、シリンダーをボーリングしてという手間とコストを掛けるなら2.0Lの3Sエンジンを積んでしまえというのがこの組み合わせ。
3SエンジンはセリカやMR2から、JGTCのGT500スープラにまで搭載されるなど当時の看板的な存在のエンジン。そのスポーツユニットを積んでしまうのだ。
相応のパワーは得られるが、良くも悪くもあんまり速くないけど気持ち良い4A-Gらしいフィールは薄れるので、ハチロクファンからはそれほど支持が得られなかった印象もある。
こういった異なる車種のエンジンを乗せる例もあるが、結構大掛かりになりそれほどメジャーと言える存在にならなかった感はある。
だが、たとえば、上記のAE86の場合は後継車の同系列エンジンを載せるのは定番となった。これは制御なども比較的簡単に行うことができるし、後継車種のエンジンのほうが手に入りやすいなどに事情も関係あるだろう。
3:AE86にAE92やAE101/111の4A-G搭載
AE86の場合はAE92後期に設定されたスーパーチャージャー仕様のエンジンを載せるのが定番。スーパーチャージャー向けに強化されたエンジンで、チューニングベースとして定番だった。とはいえ、さすがにもうベースとなるAE92後期エンジンが少なくなってきた。
そこで現在はAE101/111の5バルブ4A-Gエンジンの搭載が一般的。当時ハイパワーエンジンの5バルブ化に取り組んでたヤマハ。4A-Gも5バルブ化されており、AE86時代の4A-Gにくらべて30ps以上もパワーアップしていた。こちらも同系統のエンジンなので比較的簡単に載せられる。
4:86/BRZにFA24搭載
そして、同系統エンジン搭載の最新バージョンは先代86/BRZにGR86/BRZのFA24エンジンを搭載するチューン。現在のところわかっている情報だと、86/BRZの後期型であれば、エンジンハーネスなどがそのままでFA24を搭載できるのでかなり簡単に換装ができるという。
制御もFA20用の書き換えツールで対応できるとのことで、手軽に制御しやすい。車両価格が安くなってきた先代86/BRZをベースにパワフルに、そして高い耐久性を手に入れることが可能なのだ。
エンジンを異なる車種のものにするとかなり大掛かりにはなるが、実は大きなパワーや耐久性を手に入れるには有効な方法であることも多い。
最近ではリーズナブルにエンジン制御ができるフルコンも増えていて、これまではフルコンだけで30万円以上したのが、10万円台から手に入れられるようになってきた。そうなるとよりエンジン換装チューンもやりやすくなってきている。
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