クルマの性能を一番簡単に高められるのは軽量化。クルマが軽くなれば加速性能は良くなり、短い距離で止まれるようにもなる。燃費は良くなり、ハンドリングも軽快になる。良いことしかないのが軽量化。

ならば、カスタムでもっとクルマを軽くすればいい。だが、快適性を失うのはいかがなものか。そうなるとなかなかに難しい。しかし、軽量化できないわけでないのだ。

チューニングカーや市販車ベースのレーシングカーで行われる軽量化といえば、とにかくついているものを外すチューンがメインとなる。そういったクルマではエアコンのコンプレッサーに配管、コンデンサーを取り払う軽量化が定番だが、わずか10kg以下の軽量化にしかならない。

ほかにも内装を外して数kgの軽量化。中にはダッシュボードまで外してしまう人もいるが、こうなるとレーシングカーならまだしも、ストリートカーとしては車検に合致するかも怪しくなってくる。車検ではなになにを外してはNGというルールはないが、ダッシュボードを外すことで突起物が現れたりすると公道走行はできないわけだ。

そうなるとあとはオーディオを外すとか、リアシートを外すとかどんどん快適性を失うチューニングになる。レーシングカーならそれでもいいが、街乗りも兼用するとなると厳しくなってくる。そこでそういった失うものを最小限に軽量化できる箇所をまとめてみる。


1:ホイール

純正ホイールから軽量なアルミホイールに交換する。もちろん車種によって異なるが1本あたり数kgの軽量化だが、4本合計すれば10~15kgくらいの軽量化は可能になる。

また、バネ下重量と呼ばれるサスペンションのスプリングよりもタイヤに近い側の重量は、減るほど路面追従性が良くなりハンドリングがよくなる。その効果はバネ上の軽量化の何倍も効くと言われている。バネ下の10kgほどでもボディにしたら数十kg軽量化したのと近い効果が得られるのだ。

2:バッテリー

電解液の入った純正バッテリーは例えばトヨタ『86』/スバル『BRZ』の場合で15kg程度。それをドライバッテリーにすると約5kgで10kg程度の軽量化が可能になる。ドライバッテリーは内部の電解水を染み込ませてあったりすることで大幅に軽量に仕上げてある。起動電流も大きくセルモーターの回りがよくなるなどの効果もあるという。

価格は10万円近いことが多く、出費は大きいが特にデメリットなく10kgの軽量化は大きい。

3:ボンネット

FRPやカーボン製のボンネットによる軽量化。鉄製ボンネットの場合、10kg以上の軽量化が可能。また、比較的高い位置が軽くなるのでコーナリング時のロール量が減り、運動性能アップも期待できる。

しかし、最近のスポーティカーは純正でアルミボンネットのクルマが増えてしまった。86/BRZなどその典型でボンネットはアルミ製でかなり軽い。樹脂製ボンネットにしてもほぼ重量的には変わらないレベルなのだ。

こういった外装パーツの軽量化も普段遣いや快適性に影響せず、クルマを軽くできるので自動車メーカーも積極的に取り組んでいる。

GRヤリスではボンネット、左右ドア、リアゲートがアルミ製。さらにルーフは樹脂製とすでにチューニングカーレベルの軽量化済み。ここから軽くするのは至難の業でもある。

4:マフラー

こちらも昔は交換するだけで10kg以上は軽くなるのが定番だった。しかし、2010代以降のクルマは純正マフラーも軽く作られている。現行車種だとマフラー交換をしてもほとんど重量は変わらないことが多い。

一部車種向けでコストも掛かるがチタン製マフラーがリリースされている。こちらはやはり軽く、ひととおり交換すると10kgほどの軽量化が可能。フロントパイプからテールピースまでで40万~50万円は掛かるが軽量化というメリットは大きい。

5:シート

こちらもちょっと昔のクルマだとフルバケットシートに交換することで1脚あたり15kgほど軽くなるのが定番だった。しかし、こちらも最近のクルマは純正シートが軽く仕上げられていて、フルバケットシートにしても数kg軽量化になる程度。乗っているクルマがちょっと古めであれば格段に効果がある軽量化箇所でもある。

このように最新車種ほど軽量化は厳しくなっている。それでも数十kgの軽量化は可能。わずかかと思われるかもしれないが、その軽さが加速時も減速時もコーナリング時効いてくる。意外とさまざまな場面で効果を体感できるのが軽量化なのだ。

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