沖縄県内の幹線道路だけに存在した「バイクは第1通行帯を走れ」というローカルルールが、全面撤去に向けて動き出しました。沖縄県警は、この規制に関する標識や路面の標示の消去工事の入札公告を、2回にわたってホームページに掲載。今年度中の規制解除はいつ?に、弾みを付けました。規制区間で車線を気にせず走ることができる日も間近です。
文/Nakajima Minami Webikeプラス
規制が始まったのは1984年 完全撤廃は2024年。実現まであと一歩
バイクは第1通行帯を走れ! 規制区間をバイクで走ったことのないライダーにとって、この言葉はピンとこないかもしれません。道路交通法で自動車と原動機付自転車は、道路の左側を走ることが定められていて、第1通行帯を走るというのは不自然ではないからです。
ただ、このローカルルールが意味するのは、原付、自動二輪を問わず、バイクは第1通行帯だけを走ること。全国にある一般的な交通ルールではありません。右折したい交差点がある場合は、その直前で第1通行帯から右端に寄り右折車線に入ること。この場合も免許取得前に学ぶように、第1通行帯から第2通行帯へと直進を続けて、交差点に近づいたら右折車線に入るということはできません。沖縄ローカルルールでは、そもそもバイクは第1通行帯しか走行が許されなかったのです。
それが、2024年度に完全撤廃されることになりました。このルールの問題点は、バイクだけが通行帯を制限されるもので、他の車両は自由に通行帯を選ぶことができることでした。交差点近くでは左折する車両が第1通行帯に入ってくるので、ライダーだけがことさら運転に注意しなければなりません。
「こんなルールは教習所でも教えない。全国の人は誰も知らない」
沖縄県のバイクユーザーの声を集めて、警察本部に要望したのは沖縄県のオートバイ事業協同組合(宜野座朝洋理事長)でした。
警察本部はこうした要望を背景に、バイク事故が減っていることなどを考慮し、1921年から段階的に規制を解除することを決めました。1984年の開始当初は約82kmあった総延長区間は、2024年4月時点で35kmまで短縮されています。
●2021年3月=約11km
国道329号(東恩納南交差点~コザ交差点~比屋根交差点)
●2022年3月=約22.3km
国道329号(比屋根交差点~与那原交差点~兼城交差点/20km)
国道58号(城間交差点~勢理客北交差点/2.3km)
●2023年3月=約13.5km
国道330号(普天間交差点~コザ交差点/7.5km)
旭橋交差点~古波藏交差点~上間交差点~兼城交差点/約6km)
●2024年予定=約35km
国道58号(旭橋交差点~勢理客北交差点/約4km)
国道58号(城間交差点~嘉手納南交差点/15km)
国道330号(古波蔵交差点~普天間交差点/約16k
完全撤去は工事完了次第 標識が設置している間は違反に問われることも
それが完全撤去に至ったのは、3月28日に成立した2024年度の当初予算で、この規制に関する規制標識や道路標示の撤去のための予算が認められたためです。ただ、撤去方針が決まっただけで、実際の交通ルールの変更は、まだ先です。道路上に設置された標識や路面標示が変わらない限り、その指示に従って走行する義務があります。
県外からのライダーでも、地元と変わることのない交通ルールで走ることができるのはいつのになるのでしょうか。
沖縄県警は4月10日と4月26日に「道路標識標示消去工事」の入札公告を県警ウェブサイトに公表しました。道路標識標示の消去と補修工事の請負を内容とする一般競争入札で、これにより施工業者が選定されます。
「2区間ある予定区間で施工業者が決定し、その工事計画に基づいて標識などが撤去される。それが決まらない限りは、規制解除の具体的な日程は申し上げにくい」と、公告元の沖縄県警の担当者は話します。
「バイクは第1通行帯を走れ」という指示は、通行区分指定の標識で示されています。交差点の横断歩道橋に信号などと並んで、あるいは、路上をまたぐ形でポールに取り付けられている場合もあります。また、かなり削れかかっていますが、道路の路面標示で第1通行帯以外には「二輪を除く」と標示されています。「道路標識標示消去工事」で、これらの設置物が撤去されたときが、ローカルルール完全撤廃の日です。
春の大型連休には間に合いませんでしたが、夏休みまでには交通違反の心配がない交通ルールが実現するかもしれません。
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/374013/
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。