2023年秋に開催されたジャパンモビリティショー2023で、ホンダがワールドプレミアし、大いに話題となった「プレリュードコンセプト」。運転する楽しみ(ドライビングプレジャー)を追求し続け、継承していくことを表現したというプレリュードコンセプトであるだけに、2025年登場とされている市販モデルでは、スポーツグレードも期待したいところです。ホンダのスポーツグレードといえば、「タイプR」。はたして、プレリュード「タイプR」は実現するのでしょうか。
文:吉川賢一/写真:HONDA、JAMA
シビックと同じ前輪駆動のスポーツハイブリッドであるはず
「アンリミテッド・グライド」をイメージコンセプトとするプレリュードコンセプト。ローアンドワイドなエクステリアデザインは、大空を舞うグライダーをイメージしているそうで、「デートカー」といわれた往年のプレリュードのオーラと、2ドアクーペボディならではの気品を併せもつ雰囲気に仕上がっています。ホンダによると、このプレリュードコンセプトのターゲットは、X世代とZ世代の間とのこと。親世代と子供世代が共に移動するスペシャリティ・クーペとしてデザインされているそうです。
すぐにでも市販できそうな気配もある出来栄えだったプレリュードコンセプトですが、本稿執筆時点(2024年5月初旬)で判明しているのは、エクステリアデザインとパワートレインがハイブリッドであるなど、ごく限られた情報のみ。ただ、ホンダの広報担当者によると、プレリュードコンセプトの開発担当者はシビックの担当者と同じとのこと。開発担当部署が同じということは、シビックと同じ前輪駆動のスポーツハイブリッドだと考えられます。
シビックの中古車をもっと見る ≫全長が短く、車両重心が低いプレリュードのほうが運動性能はよくなるはず
詳細なスペックは不明ですが、プレリュードコンセプトの全長は4,500mm前後、全幅は1,800mm程度と、シビック(全長4,550mm、全幅1,800mm)よりは全長が短いスタイリング。キャビンは小さめで、全高も低められているようにみえることから、車両重心もシビックよりも低いことが考えられます。
シビックよりも全長が短く車両重心が低いとなると、プレリュードコンセプトは、シビックよりも運動性能的に有利であるはずで、スポーツグレードにはかなり期待が高まります。
エンジン、マニュアルトランスミッションといったドライブトレーンから、サスペンション周りなどはシビックタイプRのパーツを流用したうえで、ハイグリップタイヤ&大径ホイールを装着し、さらにはボディやフロアの補強として構造用接着剤の塗布長さの延長、またワイドタイヤを装着するため、前後フェンダーのワイド化(シビックタイプRはシビック比で左右合計90mmの拡幅)も必要ですし、エアロダイナミクスパーツも専用設計が必要でしょう。こうして、ひと通りのカスタムを施せば、シビックタイプRとならぶスポーツモデルとなることは、難しくないのでは、と思われます。
プレリュードは「タイプS」くらいにとどまるのでは!??
ただ、筆者は、次期プレリュードにタイプRが誕生する可能性は低いと考えます。シビックタイプRは、ここ3世代ほど、世界FF最速モデルの称号を争いながら、進化を続けてきました。その知名度は、日本国内はもちろんのこと、北米や欧州、アジア圏でも高く、いまや世界クラス。知名度が上がったことでファンも増え、高くても売れるモデルとなっており、新型車が出ると即完売、そして倍近い値段で転売されていくほどの存在です。
この状況は、ホンダにとって大切にしなければならないものであり、プレリュードのほうが運動性能的に有利とはいえ、「タイプR」の称号は、そうそう簡単には与えられないもの。スーパースポーツとして誕生した2代目NSXですら、与えられたのはタイプSでした。そんな「タイプR」という称号を、突如出てきたプレリュードに与えることは考えにくく、プレリュードはせいぜい、「タイプS」くらいにとどまるのではないでしょうか。
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「タイプR」は難しいかもしれませんが、プレリュードのスポーツグレードには、かなり期待が出来そう。2025年の登場が非常に楽しみです。
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