今や片手で数えるまでに減った国産2シータースポーツカー。でも、クルマ好きだったら憧れるし、所有したいよねぇ……。だったら、新車で買えるうちに買うのがクルマ好きってもんでしょ!? アナタならどれを選ぶ?

文/FK、写真/ダイハツ、トヨタ、日産、マツダ

■ダイハツコペンは軽オープン2シーターらしからぬ使い勝手のよさに注目

フロントフェンダーからボディサイドにかけて連続する立体的な弧を描くダブルスウィープシルエットとダックテール形状が特徴のRobe

 今となっては唯一無二の軽自動車2シーターオープンモデルとなったコペン。

 現行の2代目が発売されたのは2014年6月で、デビューからまもなく10年が経過するが、その存在感は今なお健在だ。

 維持費の安い軽自動車でありながら、オープン2シーターという高い付加価値が大きな魅力のコペン。

 しかし、それ以上にコペンの特筆点といえるのが、2シーターでありながら“使い勝手がいい”ところにあるのではないだろうか。

 例えば、コックピットにいながら約20秒でフルオープンにできる電動開閉式ルーフのアクティブトップや、ルーフクローズ時はゴルフバッグ(1個)や旅行カバンなどが収納できるトランクルームなどはその最たる装備。

 コペンのライバルとして常に比較対象に挙げられていたホンダのS660が手動によるルーフ開閉式でかつ荷物の収納もままならなかったことを考えるとその差は歴然。

 S660はバイクに近い感覚で楽しむ割り切ったスペックだったといってしまえばそれまでだが、日常使いまで含めてどちらを選ぶかを考えた場合、コペンの懐の広さは大きな魅力以外の何ものでもない。

 また、コペンでは異なるデザインが与えられた4つのスタイルから選択できるRobe、XPLAY、Cero、GR SPORTをラインナップ。さらに、内外装の着せ替えができる内外装着脱構造のドレスフォーメーションも採用し、まさに個性のカタマリともいうべきそのスペックの数々は他の追随を許さない。

 このように、単なる軽自動車のオープン2シーターというアドバンテージを超越したコペンだが、先述のようにデビューから10年が経ち、ジャパンモビリティショー2023ではコペンのDNAを受け継ぐオープンカーのコペンヴィジョンを発表するなど、“フルモデルチェンジ近し”を感じさせるだけに、現行のコペンを買うなら今が買いどきなのかもしれない。

記事リンク

前の記事

ツイン大好きだったな…日本に真のシティコミューターが根付かないのはなぜか?

次の記事

魅力的な電動スポーツカーだ!!! 伝統の[MG]から復活への回答!! ゲームの世界から誕生した2シーターオープン[サイバースター]日本メディア初試乗!

■日産フェアレディZといえば、やっぱり2シーターじゃなきゃダメでしょ!?

現行型フェアレディZ

 2020年9月にプロトタイプが発表されるやいなや、その復活が話題となったフェアレディZ。

 過去に発売されたZ31型とZ32型では乗車定員2名の2シーターと4名の2 by 2が存在したが、2002年7月に登場したZ33型からは2シーターのみの設定に変更となり、現行モデルもそれを継承するかたちで2022年夏に発売が開始された。

 日産のスポーツカーといって誰もが思い浮かべるのはGT-Rだと思うが、GT-Rは乗車定員が4名、サイズが全長4710×全幅1895×全高1370mmでホイールベースが2780mm。

 これに対して2シーターのフェアレディZは、サイズが全長4380×全幅1845×全高1315mmでホイールベースが2550mmとかなりコンパクトであることがわかる。

 エンジンも違えば車格も違うGT-RとフェアレディZを比較するのはお門違いかもしれないが、フェアレディZの走りに徹したパッケージとボディバランスのよさは2シーターだからこそ実現できたものなのだ。

 また、現行モデルは初代S30型をはじめとする歴代フェアレディZへのオマージュを込めたシルエットに仕上げられているだけに、むしろ2シーターだけに絞った仕様のほうがフェアレディZらしいのでは? 

 それでいて、エンジンはフェアレディ史上最強の3LのV6ツインターボエンジンに加え、停止状態から加速性能のポテンシャルを最大限発揮する自動制御技術ローンチコントロールを日産のFR車として初めて搭載。

 2シータースポーツならではの軽快な走りも楽しめるのだから、オールドファンも納得のスペックといえるだろう。

 また、実際に試乗したことがある人ならわかるだろうが、室内空間(コクピット)は広くてゆとりがあり、ラゲッジスペースもふたり分の荷物を積むには充分。

 後席に人を乗せる機会が皆無に等しいという人にとっては、2シーターのデメリットを感じることもないだろう。

■もうすぐ10年選手のマツダロードスターが今なお売れ続ける理由

4代目(現行)ロードスター

 2000年5月にふたり乗り小型オープンスポーツカー生産累計世界一(53万1890台)のギネス世界記録を樹立し、押しも押されもせぬグローバル基幹モデルとなったロードスターの4代目がデビューしたのは2015年5月。

 やや低調なセールスに終始した3代目から100kg以上の大幅な軽量化を実現して原点回帰を図ったことも相まって、いまなお高い人気を獲得しているオープン2シーターモデルであることは周知のとおりだが、4代目の魅力はロードスターの代名詞といっても過言ではない“人馬一体の走り”をよりいっそう進化させた新技術の導入にある。

 例えば、アクセルを踏んだ瞬間の力強いトルク感や低速域から7500rpmまでリニアかつスムーズに回るFR専用設計のSKYACTIV-G 1.5Lエンジンであったり、フロントミドシップレイアウトや前後重量配分50:50など運動性能に優れたパッケージング。

 さらに、優れた視界・操作性が良い機器配置・ドライバーに対して正対するペダルレイアウトなどスポーツカーとして理想的なドライビングポジションであったり……と、その進化は枚挙に暇がない。

 加えて、毎年のように行われる商品改良によって熟成も進んでいるロードスター。

 2023年10月には人馬一体の走りの楽しさをさらに高めるべく、エンジン・サスペンション・タイヤに最適なイニシャルトルクと差動制限特性によって街中では軽やかに、ワインディングでは旋回時の安定性を向上したアシンメトリックLSDを採用。

 電動パワーステアリングやエンジンでも改善・改良を行いつつ、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロールやスマート・ブレーキ・サポートなどの最新技術やコネクティッド技術を搭載して現代に求められる安全性能にもしっかりと対応しているのだから、そりゃデビューから9年が経とうが古さを感じないワケだ。

■トヨタGRスープラの“レースで強い・レースで速い”は絶対的な正義!

ピュアスポーツカーとしての基本素性を追求した車両パッケージによってその理想を追求したスープラ。前後重量バランスも理想的な50:50の配分を達成

 TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ“GR”から2019年5月に登場したスープラ。

 先代モデルの販売終了から17年の時を経て復活し、大きな注目を浴びながらのデビューではあったが、その後は先述の3台に比べると存在感がやや希薄な印象があることは否めない。

 スープラはトヨタがBMWとの包括提携によって開発・商品化した初のクルマであり、BMW Z4との兄弟車である……ということも少なからず影響しているかもしれないが、とはいえ、国内グランドツーリングカーレースの最高峰であるSUPER GTでは2021年と2023年に年間王者を獲得しており、高い走行性能は折り紙付き。

 この走りのよさを実現している要因のひとつとして、スープラが2シーターであることが影響していることも間違いない。

 なぜなら、卓越したハンドリングや安定したコーナリング姿勢を実現するべく、トヨタではホイールベース・トレッド・重心高を重要なファクターととらえてピュアスポーツカーとしての理想が追求されているから。

 ホイールベースは2シーターに割り切ることでトヨタ86よりも100mm短い2470mmを、ホイールベースとトレッドの比率も1.55というほかの量産スポーツカーと比較してもトップレベルの数値を達成。重心高も水平対向エンジンを搭載するトヨタ86より低い重心高を実現している。

 また、上位グレードのRZはスープラの伝統を継承する直列6気筒の3Lツインスクロールターボエンジンを搭載。加えて、後輪左右間のロック率を0~100の範囲で連続的に最適制御するアクティブディファレンシャルによって高い旋回速度・安定性・ニュートラルなステアリング特性も実現している。

 2020年4月にはRZグレードのエンジン出力を47ps向上し、2022年4月にも同グレードに6速MTを追加するなどの改良を行って進化を続けるスープラも魅力に溢れる国産2シータースポーツカーであることは間違いない。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。