現代ハイエンド・カーオーディオでは、デジタルチューニングが必須項目となっている。なおその設定はプロに任せた方が確実だが、それと並行して自分でやっても楽しめる。当連載ではそれを推奨し、その設定方法をガイドしている。
現在は、マルチウェイスピーカーに対して再生範囲の割り振りを決める機能である「クロスオーバー」の設定の仕方を説明しているが、今回からはフロント2ウェイスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」の設定方法を解説していく。
なお、ツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」を設定することとなるのは、ある程度高度なシステムを組んでいる場合に限られる。ちなみに市販メインユニットでそのような「クロスオーバー」が搭載されているのは、カロッツェリアの「ネットワークモード」に対応している機種のみだ。
または、「単体DSP」もしくは「パワーアンプ内蔵DSP」でも、フロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間にて「クロスオーバー」を設定できる。
そしてそれらを使って「マルチアンプシステム」が組まれる場合にのみ、ツイーターとミッドウーファー間にて「クロスオーバー」がかけられることとなる。つまりこれが使われるのは、ツイーターとミッドウーファーのそれぞれがパワーアンプの1chずつの出力にて鳴らされる場合のみ、ということになる。
さて、「マルチアンプシステム」が組まれる際に「クロスオーバー」を設定することとなるのはなぜなのかというと…。
理由は2つある。まず1つ目は「ツイーターとミッドウーファーを個別のchで鳴らすことになるから」だ。つまり「マルチアンプシステム」が組まれる以上、信号をあらかじめ分割しておくことはマストとなるのだ。
そして2つ目の理由は、「スピーカーの性能を引き出したいから」だ。カー用のスピーカーは、車種によって、さらにはオーナーの好みによって取り付け方が都度変わる。ツイーターでいえば、純正位置に埋め込まれることもあればダッシュボードの上にポンと置かれることもある。またはAピラーやドアミラ裏に埋め込まれることもある。
このように取り付け方が変わると、ミッドウーファーとの関係性も変化する。位置が大きく離れたり近づいたりするので、またツイーターの音が目立つことになったりその逆方向に振れたりもする。こうして都度バランスが変化するので、それに応じて最適な鳴らし方を模索する必要性が生じる。ゆえに「クロスオーバー」が調整されることとなるのだ。
今回は以上だ。次回からはこれを踏まえて、実際の調整方法を手順を追って説明していく。お楽しみに。
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