トヨタ自動車など国内の大手自動車メーカーで組織する日本自動車工業会(自工会)が、今年1月に就任した片山正則会長(いすゞ自動車会長)の新体制の下で、早くも“変身”しつつある。
これまで「まるでお役所仕事のような団体組織」などとも揶揄されてきたが、新年度に入って初めて開いた記者会見では、 “タブー視”されていた個社の問題についても、業界全体に与える影響などを考慮して、会員企業に対する緊急調査を実施するなど、逃げ隠れせずに文字通りの「オールジャパン」で再発防止策などに取り組む姿勢を示した。
その個社の問題とは、日産自動車が下請法違反で公正取引委員会の勧告を受けた後も取引先に支払う代金の不当な減額を続けた疑いがあるとの一部の報道に対し、自工会副会長として出席した日産の内田誠社長は「重く受け止めている」と述べ、来週にも弁護士を含めた調査チームで事実関係を調べた結果を公表する考えも示した。
一方で、自工会の片山会長は「価格の適正化はパートナーのサプライヤーと取引をする上での前提条件だ」と指摘。下請け企業との適正取引に向けた方針を決めて、5月中に公表する自工会の自主行動計画の改訂版に盛り込む方針を明らかにした。
きょう各紙にも、読売が総合面で「自工会、原料高価格転嫁を推進」などと報じたほか、関連記事を経済面に「商習慣の適正化率先、中小への波及期待」とのタイトルでトップで掲載。「自動車大手が仕入れ先との取引を巡り、原材料費やエネルギー価格の上昇分をすべて負担する方針を打ち出した。550万人が働く基幹産業の決定は、中小企業の経営に大きな影響を与える。日産自動車の下請法違反を始め、各社は不適正な商慣習の見直しを進めており、実効性が問われそうだ」とも伝えている。
自工会の“定例”記者会見は、不定期ながらも年数回は開かれているが、過去にも検査不正問題など会員企業の不祥事が相次いでも「個社の問題」としてテーマに上がるようなことはほとんどなかった。このため、メディアの露出も極めて地味であり、むしろ今回のような掲載は異例でもある。
2024年5月24日付
●自工会、原料高価格転嫁を推進、部品調達先中堅以上も (読売・2面)
●ダイハツ、タントなどリコール(読売・23面)
●事故車修理「工賃低すぎる」整備工場団体、損保に団交申し入れ (朝日・7面)
●旧BM組織風土改革が最優先、主要事業を継承「WECARS」田中慎二郎社長(朝日・7面)
●下請け不当減額 日産継続か調査、公取委勧告後 (毎日・6面)
●損保4社、顧客情報漏洩、自動車保険、競合他社に (産経・1面)
●プリウス来月から生産・出荷再開 (産経・10面)
●テスラ、中台以外で、部品生産サプライヤーに要請 (日経・10面)
●モビリティショー、自工会、毎年開催に(日経・13面)
●低速・小型EV、身近な足に、「グリスロ」都内で実証広がる (日経・31面)
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