政府の経済財政諮問会議の民間議員が、「65歳以上」という高齢者の定義を5歳引き上げて、「70歳以上」に引き上げる事を検討すべきとの提言が出たことについて、武見敬三厚労相は28日午前、「年金の支給開始年齢の引き上げは考えていない」と明言した。

この提案は、23日の経済財政諮問会議で、民間メンバーである経団連の十倉雅和会長、証券アナリストの中空麻奈氏、経済同友会の新浪剛史代表幹事、経済学者の柳川範之氏が、身も心も満たされた、誰もが活躍できる社会・ウェルビーイングの高い社会をいかにして実現するのかというテーマで、全ての世代でリスキリング(学び直し)を推進すべきという文脈の中で出したもの。「高齢者の健康寿命が延びる中で、高齢者の定義を5歳のばすことを検討すべき」との提言だが、SNSでは、「高齢者の定義」がトレンドワード入りした。「人生100年死ぬまで労働という話」「年金支給開始の年齢を70歳にするための布石としか思えません」などの書き込みが相次いだ。

この提言について聞かれると武見厚労相は、「現在の年金制度は将来世代の負担を過重にしないように2004年改正において保険料の上限を固定した上でその範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドをすでに導入している」と説明し、「高齢者の定義にかかわらず、年金の支給開始の年齢の引き上げを行うということは、考えておりません」と、年金支給開始年齢の引き上げについて明確に否定した。

また原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用する介護保険制度においても、「直ちにその範囲を見直すことは考えていません」と述べた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。