6月1日で能登半島地震から5カ月です。多くの被害を出した液状化について新潟市が専門家を交え検討を始めましたが、繰り返すとされる液状化への抜本的な対策の道筋はまだ見えていないのが現状です。
被害の出た場所で再建を目指すのか悩みを抱える人も多くいますが、発生から時間が経つ中、まずは傾いた住宅の復旧を進める被災者もいます。どのような工法があるのか取材しました。
元日に発生した能登半島地震。県内で多くの被害を出したのは液状化現象です。
新潟市では1万7000棟を超える住宅に被害が出ています。こうした中、急がなければいけないのが住宅の復旧作業。
【工事を依頼した人】
「傾いているので、気持ち悪くて寝込んだりとか、吐き気に見舞われたりした」
住む人の健康に影響を与える恐れがあると指摘される“住宅の傾き”。11cmほどの傾きが確認された住宅で復旧作業のために行われていたのが…
【高辰組 岡村和幸 専務】
「土台と基礎を切り離してジャッキアップする、土台ジャッキアップ工法」
油圧ジャッキで土台を持ち上げ建物を水平にし、空いた隙間をセメントなどで埋めていく工法です。
【工事を依頼した人】
「家具などを動かさなくてよかったこと、家ごと水平にしてくれるのが魅力で決めた」
工事の期間中も住宅で生活を続けることができるとあって依頼が相次いでいるといいます。
【高辰組 岡村和幸 専務】
「うちがやる場合、引っ越ししなくていいし、床をなるべくはがさなくていい工法でやっている。そこがいいのかなと」
ジャッキで土台を少しずつ持ち上げていくと…
【記者リポート】
「土台上げの作業開始から約2時間。大きいところでは10cmほど土台が上がっているのが確認できます」
引っ越しを行うことなく住宅の復旧ができる工法は他にも…
【齋藤正昂アナウンサー】
「扉のドアノブを回して少し開くと、住宅の傾きで開いていきます」
去年3月に建てたばかりだというこちらの住宅。液状化により、最大で10cmの沈み込みが発生していました。
【アップコン 松藤展和 代表取締役社長】
「こちらの住宅だと1000分の10以上の傾きなので、人によっては体に異常を感じると思う」
こちらの住宅の修復に使用されたのはジャッキではなく、ウレタンのもととなる2種類の液体です。
【アップコン 松藤展和 代表取締役社長】
「化学反応を起こしながら膨らんでウレタンに変わっていく。途中の圧力で床を持ち上げるという工法」
床下のスペースに入り、コンクリートの基礎の部分に穴を開けます。開いた穴から土の中にウレタン樹脂を注入し、基礎の下から住宅を押し上げ修復を行うという工法です。
床の上で高さを確認する作業員と連携しながらウレタンを注入。住宅全体が水平になるように修復を行います。
この工法の大きな特長は“施工期間の短さ”。
【アップコン 松藤展和 代表取締役社長】
「1階の面積が50~60平米で約10cm強下がっている。今回は3日で直す」
大がかりな作業が不要で天候にも左右されないため、スピーディーな修復が可能だということです。
地震の発生から6月1日で5カ月。復旧に向けた作業が続いています。
【アップコン 松藤展和 代表取締役社長】
「こういう大きな地震が起こったときこそ、我々の力を発揮できるときだと思っているので、一日も早く復旧に役立てるような形で被災されたところにかけつけたい」
【高辰組 岡村和幸 専務】
「やっぱり水平に住むのが当たり。それを早くやってあげるのがうちの仕事かなと思っている」
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