繁殖例ない愛知へ…一度絶滅し野生復帰目指す『コウノトリ』が西尾市に飛来茨城で生まれた1歳メスと判明

幸せを運ぶ鳥といわれる国の天然記念物の「コウノトリ」が、愛知県西尾市に飛来した。日本では絶滅したはずのコウノトリがなぜ愛知県にいるのか。

西尾市の矢作川近くに、ひと際、大きな白い鳥が飛来した。

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西尾市民：
1カ月くらい前から田んぼの辺を飛んだり行ったり来たりしてて。朝とか夕方はよく来てます。

専門家に、このトリを確認してもらった。

兵庫県立コウノトリの郷公園西田和佳奈さん：
間違いなくコウノトリです。白い体に黒いクチバシを持っております。目の周りが赤、脚も赤、ということで見分けがつくと思います。

かつては日本で広く生息・繁殖していたが、明治から昭和初期にかけ乱獲や、田んぼへの農薬散布でエサとなるドジョウなどの生き物が減ったこともあり、1970年代に野生種は絶滅したとされるが、脚をよく見ると0674の番号が記されている。

兵庫県県立コウノトリの郷公園の西田和佳奈さん：
コウノトリには、ほぼ全てに足環（あしわ）をつけております。（Q.0674と書いてありますが？）0674は昨年（2023年）に茨城県行方市（なめがたし）で生まれた鳥です。

日本最後の生息地となった兵庫県豊岡市では、ロシアから贈られたコウノトリの「つがい」で、1989年に人工繁殖に成功した。

その後も、ヒナが次々と生まれた。

2005年には秋篠宮ご夫妻が立ち会われ、野に放つ取り組みを始めた。一度絶滅した鳥を野生復帰させる、世界でも例のない試みのスタートだ。

今回、西尾市に来たのは、茨城県行方市の野外で生まれた1歳のメスと判明した。

兵庫県県立コウノトリの郷公園の西田和佳奈さん：
エサがたくさんある場所として、西尾を見つけたということだと思います。

今では47都道府県で362羽が暮らしているが、愛知県ではまだ繁殖例はないということだ。

コウノトリの飛来を、西尾市民も歓迎している。

西尾市民：
みんなに幸せを運んでくれるみたいで、私たちみんなも幸せな気持ちになってうれしいなと。

コウノトリは無農薬や減農薬などで、淡水魚やカエルといった水生生物が多い田園などにやって来るという。

兵庫県県立コウノトリの郷公園の西田和佳奈さん：
コウノトリにとって良い場所というのは、人間にとっても良い場所と思いますのでそういった地域が増えていけばいいのかなと思っています。

コウノトリは人間が近づくと怖がるため、半径150m以上離れて驚かさないようにすることが大切で、地元の人たちも静かに見守ってほしいと話している。

愛知県稲沢市でも30日、2羽のコウノトリが確認され、林伸明さんが撮影に成功した。