これからの季節、できれば会いたくないあの虫…。苦手な人にとって遭遇しても、なすすべなしの「ゴキブリ」。実はいま、ゴキブリの駆除をめぐるトラブルが急増している。

女性:この家ほんま、やばなりますよ、ゴキブリすみ付いてる家ですよって言われて

基本料金を数百円とうたいながら、実際は10万円の支払いになることも。トラブルの実態を取材した。

【動画】500円のはずが10万円に…『ゴキブリ駆除』高額請求トラブル 駆除の経験ない20~30代で急増

■最低料金900円のはずが…『ゴキブリ』かけつけ駆除後 請求は「1万8590円」トラブル急増

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大阪市内に住む20代の女性。去年6月のある日、仕事から帰って、リラックスして1人の時間を過ごしていた。深夜になり、寝室に向かおうとした、その時…

女性:このへんシャッと…逃げました。こわかった…。

そう、あらわれたのは、ゴキブリ。女性は、大のゴキブリ嫌い。

女性:無理無理無理。実家はママとパパ、強いからやってくれるけど。1人暮らしのつらいところがゴキブリです。怖いですよ!

ゴキブリを見失ってしまった女性は、どうすることもできない状況に。

そんな中で、ネット上であるものを見つけた。

ゴキブリ駆除を依頼した人:『ゴキブリ、緊急』で調べたら、1番上に『殺しに行ったりますよ』ってのが出てきた。しかも、値段もすごい安くて、すぐ来てすぐ来て!と思って電話しました。

女性が見つけたのは、ゴキブリ駆除を行う業者のサイト。飲食店などだけではなく、住宅に現れたゴキブリの駆除にも対応していた。

実はいま、こうした個人から依頼をうける業者は増えている。

関東で年間3000件以上の害虫駆除を行った実績を持つ、別の業者はこう話す。

害虫獣SOS 石井健伍さん:めちゃくちゃ増えましたね。2020年、コロナの時の在宅需要の時、(ゴキブリを)見かける回数が増えた。あの時すごい問い合わせ数多くなって。

ゴキブリの侵入経路の穴を埋めるなど、作業は専門的な内容も多く、一定の費用が発生することが一般的。

害虫獣SOS 石井健伍さん:キッチン下の板を外したり、換気扇を解体して中のダクト本体を見たりとか、(薬剤を)侵入経路から入れ込んだりとか、コンセントから入れたりとか、壁裏・床下に直接アプローチをかけたり。

しかし、先ほどの女性の場合…
ゴキブリ駆除を依頼した人:900円からですね。

最低料金は900円で、業者からは「3000円」と提示された。

ゴキブリ駆除を依頼した人:『こみこみで3000円ですよね』って、『そうです。向かいます。どこですか?』とんとん拍子だったんで。(Q.確認したんですか?)駆けつけてくれるのは、ほんまじゃないですか。怪しいからこそ、私も何回も聞いたんです。

電話で駆除を依頼してから1時間が過ぎたころ、スタッフが到着。

殺虫剤を使い、約10分で作業は終了。

しかし、問題がおきたのはこのあとだ。

ゴキブリ駆除を依頼した人:シャッっと殺してくれて、ああ良かった~って思って。ここからですよ!『いろいろ点検させていただきますね』って始まって。『キッチンの下から(ゴキブリ)入ってきてますね、お薬、やっときましょうか』みたいな。

女性は約1時間にわたって業者から強く不安をあおられる中、追加作業の提案をすべて拒否。

しかし、帰り際にスタッフが出したのは、思わぬものだった。

ゴキブリ駆除を依頼した人:1万8590円。

聞いていなかった基本料金1万円に加え、深夜料金など合わせて約1万8000円を超える請求をされたのだ。

ゴキブリ駆除を依頼した人:夜中の2時半ぐらいで、あしたも朝早かった。寝れたらそれでいいやって、諦めちゃいました。

実はこういったトラブルがいま全国各地で問題となっている。

■害虫駆除経験のない若い世代 極端に安い値段には注意 「数百円で駆除はまずありえない」

去年、害虫などの駆除に関する相談件数は、2290件と、前の年と比べて1.5倍に。その中でも、爆発的に増えているのがゴキブリの駆除に関する相談なのだ。

国民生活センターによると、「500円で駆除」という広告を見つけて電話したところ、「1万円になる」と言われ、さらにその後、訪れた作業員から約10万円を請求されて、支払ってしまったというケースが実際にあったという。

さらに、トラブルにあった人には、ある特徴が…。

国民生活センター相談情報部 加藤良太さん:特にゴキブリについては若い人たち、10代20代の方からのご相談が近年急増しているという状況になっています。

一体なぜ、若い世代で、トラブルが増えているのだろうか?

国民生活センター相談情報部 加藤良太さん:近年は住環境や衛生環境が改善されて、(若い世代は)今まで一度も害虫の駆除を体験したことがない。

実際のところどうなのか、街で話を聞いてみると…。

19歳・20歳:虫の中では一番嫌いです(Q.家で出たことはありますか?)あります。

19歳・20歳:僕は退治できないんで、父親が一生懸命頑張ってました。ちょうど家にいたので、すぐ呼んできて退治してもらいました。

20代:嫌いです。逃げる~。(Q.もし1人なら業者に電話する?)しちゃうかも…。そのときのパニック状態やったら、お金より自分を守るために。

ゴキブリが苦手な若い世代が多い中、悪質な業者には、注意が必要だ。

国民生活センター相談情報部 加藤良太さん:パニックになってしまって、『契約するしかない』と思う。極端に安い価格を表示しているサイトには注意していただければ。数百円で駆除ができるということは、まずありませんので。

実際に、インターネット上で「最低料金500円」をうたう業者に話を聞いてみると。

業者:500円は、死んだゴキブリ1匹の駆除代ですよ。実際にハウスクリーニングをしないといけない状態なら、10万円を超えることもありえますね。
記者:本当に1匹の駆除だけなら、500円しかかからないんですか?
業者:まぁそうなると、優先順位もあるので、いつうかがえるようになるかは分かりませんね。

トラブルに巻き込まれないためにも、ゴキブリを目の前にしたとき、冷静に対応する力も身につけておきたいもの。

「ゴキブリスト」として、研究を続ける柳澤静磨さんは、その生態についてこう話す。

竜洋昆虫自然観察公園 柳澤静磨さん:触覚が頻繁に動いているときは、ゴキブリも焦っていたり警戒していたり。その時は動きも速くなる。彼らは身体に感覚毛という毛がたくさん生えていて、スリッパで振り上げた空気の振動を感知して逃げたりできる。あまり大きな動きはしないというのが、1つコツかなと思います。

目の前にするとパニックに陥る人も多い「ゴキブリ」。悪質な業者とトラブルにならないよう、注意しておく必要がある。

■契約内容に不備があればクーリングオフできる場合も 可能であれば相見積もりを

ゴキブリ駆除のトラブルが増えている。どのような対応が求められるのだろうか?

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:国民生活センターによると、もし悪質な業者と契約をしてしまっても、記載の内容に不備があった場合などは、時間を過ぎていてもクーリングオフができる場合もあるそうです。それでも業者が応じないなどのトラブルがある場合は、消費生活センターに電話することも1つだと思います。本当に緊急を要する時は、なかなか難しいと思いますが、できれば複数の業者に相見積りを取って、あまりにも安いところは信じない。それから相見積を取ることすら許さない業者とは契約しないということを心がけるといいかと思います。

ゴキブリの姿を見るとドキっとしてしまうが、トラブルに巻き込まれないよう、冷静に対応していただきたい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月5日放送)

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