赤しそのふりかけ「ゆかり」で有名な三島食品(広島市)が製造する、青菜のふりかけ「菜めし」が一部の店頭から姿を消している。同社によると、全国的な現象だという。あったかご飯に混ぜたり、おにぎりにしたりして食べるとおいしいのに、一体何が起こっているのだろう。
「子どもが好きなのに。近所の店には置いていない。」。そんな声を聞き、記者が暮らす福岡市でスーパーを何店か訪ねたが「ゆかり」は置いてあっても「菜めし」を見つけることができなかった。三島食品に連絡すると、意外な答えが返ってきた。「広島菜のふりかけ『ひろし』に置き換えられているのです」
三島食品によると、「菜めし」は1981年の発売で、広島菜と京菜、大根葉の3種類の青菜(一部外国産含む)に加え、カツオの削り節粉末や昆布エキス、粉末みそなどを含む芳醇(ほうじゅん)な味が特徴。看板商品の「ゆかり」ほどではないが、一定のファンが付いている。一方、「ひろし」は国産の広島菜を100%使用し、塩ベースの味付けで2021年に販売を始めた。
「ひろし」人気のきっかけは、売り場に「ゆかり」、「かおり」(青じそ)、「あかり」(ピリ辛たらこ)が並んでいるのを見つけた消費者が18年にSNS(ネット交流サービス)で「3姉妹みたい」と投稿したことにさかのぼる。
実は、同社はそれまで人の名前を意識していなかった。これ以降、20年に「うめこ」(カリカリ梅)を販売。「ひろし」は初の男の子の名前として21年に販売し、脚光を浴びた。ネットニュースなどで取り上げられて人気商品となり、それを受けてスーパーも人気商品を優先するという形で、「菜めし」からの置き換わりが進んだ。16グラム入りのふりかけで比較すると、「ひろし」の売上高は「菜めし」の約2・5倍という。
こうした状況について、広報担当者は「ひろしの名前に興味を持ち、買ってくださるお客さまが多いようです。実際に手にとり、国産の原料を使用していることや、アレルギーの原因となる特定原材料28品目を使っていないところも受け入れられているのかも」と推測した。
店頭では見かけることが少なくなった「菜めし」だが、給食などでは依然として人気を博しているといい、担当者は「菜めしの販売をやめることはないので、お問い合わせいただければ、在庫のありそうな店舗をご紹介します」と話した。教えられた通りの店舗を訪ねると、「ゆかり」や「ひろし」と一緒に「菜めし」も並んでいた。【下原知広】
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