東京大の学費引き上げに反対する学生らは14日、東京都千代田区の衆院議員会館で院内集会を開き、国から国立大に支払われる運営費交付金の増額を求める要望書を文部科学省の担当者に手渡した。要望書では、学費の引き上げが地方の大学に波及することに懸念を示し「値上げはただでさえ苦しい家計をさらに逼迫(ひっぱく)させる」として予算措置の必要性を訴えた。
要望書を提出したのは、学生有志による「東大学費値上げ反対緊急アクション」。運営費交付金増額のほか、授業料免除の拡充や物価高騰に伴う負担増を補塡(ほてん)するための予算措置を求めている。文科省国立大学法人支援課の担当者は「どれも非常に重要な内容。運営費交付金については、物価高騰などが大学の財務に影響を与えていると認識している。しっかりと確保していきたい」と応じた。
同じく14日には駒場キャンパスの教養学部学生自治会と学生有志団体が文科省で記者会見し、「値上げの検討プロセスに学生が参加できていない」「将来の学生や院進学希望者に大きな影響を与える」などと反対意見を訴えた。一方、本郷キャンパスでは6日に複数の団体による全学緊急集会が開かれ、学生や教員ら約400人が参加。値上げ案の撤回や、公開の場での学長と学生団体の交渉を求めることなどを決議した。
国立大を巡っては、国立大学協会(会長=永田恭介・筑波大学長)が7日、国立大の財務状況について「もう限界」と異例の表現で訴え、国民に理解を求める声明を発表している。
国立大の学費は文科省令により、53万5800円を標準額として各大学の裁量で最大20%上乗せできる仕組み。複数の関係者への取材によると、東大では学部・修士課程の53万5800円と博士課程の学費52万800円を、2025年度の入学者からそれぞれ64万2960円に改定するとの案を検討しているという。【井川加菜美、西本紗保美】
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