写真はイメージ=ゲッティ

 山口県周南市は20日、無医地区の郵便局に診察室を定期的に開設して診療所の医師と結ぶオンライン診療を7月に始めると発表した。患者にとって課題となる通信機器の操作は郵便局員の支援を受けるほか、診察費と薬代も窓口で払えるようにする。市によると、郵便局を使った継続的なオンライン診療は実証事業を除き全国で初めて。

 診察室を設けるのは、2016年2月末に長沼医院が閉じて以来、医師のいない和田地区にある高瀬郵便局。国の規制緩和で24年1月から郵便局でもオンライン診療が可能となった。市は24年度鹿野診療所特別会計当初予算に事業費約90万円を計上して通信費を確保し、高瀬郵便局が相続相談などで使っている個室に診療用パソコンなどを配備した。

 オンライン診療では、患者はまず医師の対面診療を受けるのが原則。7月16日の開設式後、個室を診察室にする毎週火曜のうち、第3火曜は鹿野診療所の長沼恵滋医師が出向いて診療。残る火曜は予約制で患者に来てもらい、鹿野診療所から長沼医師がパソコンの画面越しに問診する。処方箋はファクスで患者指定の薬局に送り、薬は受け取りに行くほか、送付も受けられる。

 長沼医師は長沼医院の院長の孫で、市外から22年4月に鹿野診療所に着任した。市内4カ所の巡回診療所も受け持ち、地域医療への責任感からオンライン診療担当も希望したという。【峰下喜之】

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