■牧場のウシが逃げた…理由は野犬
北海道東部の別海町の牧場で放牧中のウシが野犬の群れに襲われ、うち4頭が死ぬ被害がありました。周辺の牧場では5月から野犬の襲撃が相次いでいて、これまでに6頭のウシが死にました。町はワナを設置するなどし警戒を続けています。
野犬に襲われたのは別海町上春別地区にある牧場で、6月16日朝、ウシが柵から脱走しているのを牧場関係者が発見しました。
確認したところ、放牧中のウシ78頭が野犬の集団に襲われ、このうち4頭の乳牛が死んでいるのが見つかりました。
ウシは尻や生殖器などをかまれ、柔らかい内臓を食べられていました。
現場にはイヌの足跡が多数残されてていて、7~8匹の野犬の集団に襲われたとみられています。
■5月下旬から現れた野犬の集団
別海町上春別地区では、5月から野犬の集団による被害が相次いでいて、これまでに4箇所の牧場で、11頭のウシがかまれ、うち和牛を含む6頭のウシが死んでいます。
「最初はクマかと思ったが、イヌの足跡があった。今までこんなことはなかった」と牧場関係者も驚く 野犬によるウシ襲撃。
■66頭のウシを襲ったOSO18の記憶
北海道東部の牧場では2019年からヒグマの「OSO18」が標茶町や厚岸町の牧場で66頭もの牛を襲撃し「忍者グマ」の異名で恐れられていましたが、2023年にようやく駆除されました。
道東の牧場に平和が戻ったかに見えましたが…
■ヒグマへの備えに加え 野犬対策も
5月21日、別海町の牧場で子ウシ8頭がヒグマに襲われ、 4頭が死ぬ被害があり、酪農関係者の間で再びクマへの警戒が続いていました。
そんな矢先、すぐ近くの牧場で、今度は野犬による被害が出たのです。
被害の拡大を防ぐため町は、牧場周辺に捕獲のためのワナを設置するとともに毒エサを配置しました。
また人も襲われる可能性があるとして、極力1人で行動せず、車で移動するよう呼び掛けています。
■野犬たちはどうやってウシを襲った?
そもそも、イヌが自分よりも体の大きいウシを襲うことがあるのでしょうか。
実は過去にも野犬の集団がエゾシカを襲う様子が目撃されていました。
2013年、根室市の風蓮湖で、3匹の野犬が湖の中に、シカを引き込もうとしている様子が撮影されました。
1匹が首に、もう1匹が背中に噛みついていて、役割を分担して相手を倒そうしている様子がうかがえます。
■今後どうなる 野犬の集団
野犬が増えると狂犬病なども心配されますが、今後、野犬の集団はどうなっていくのでしょうか。
旭山動物園の元園長で、札幌市円山動物園参与の小菅正夫氏は、人の手を離れたイヌは群れを作り、あっというまに「オオカミ化」してしまうと警告します。
イヌは野生化すると、一頭では生きていけないので群れで暮らし、集団で狩りを行うようになり ”オオカミの習性” が蘇ってくるといいます。
小菅氏は今後、子どもが生まれて野犬の群れが拡大するのを防ぐためにも、全頭捕獲するしか対策はないと断言します。
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