東京都知事選が20日告示され、来月7日の投開票に向けた選挙戦の火ぶたが切って落とされた。2期8年にわたる小池百合子知事の都政に評価が下される。現職の小池氏は18日、公約を発表し、保育料無償化を第1子まで拡大、無痛分娩の助成制度のほか、行政手続きの100%デジタル化などを明らかにした。前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏は17日、公約を発表した。石丸氏は、SNSを活用した政治の見える化、AI(人工知能)で集約した民意を政策に反映、46道府県との協調・協働強化などを強調した。元航空幕僚長の田母神俊雄氏は18日、公約の中で、都民税の減税、自虐史観教育の修正、また、外国人への生活保護廃止を盛り込んだ。蓮舫前参院議員は18日、樹木伐採に批判が集まる神宮外苑の再開発計画については、「見直し」を明言、都政の意思決定プロセスの透明化、職能再開発支援などを公約として掲げた。

東京都選挙管理委員会は、史上最多の立候補者数56人となったことから、事前に48人分のポスターを貼る掲示板のスペースを用意したが、足りなくなる事態が生じた。都選管は、届け出が49番目以降の候補者にクリアファイルを準備し、既設掲示板の枠外に取り付ける異例の措置を講じた。大量の候補者を出した政治団体に原因の一つが指摘される。当該の政治団体は、寄付を行えば、希望者は都知事選の掲示板にポスターを貼ることができる計画を打ち出していた。また、都知事選の選挙ポスター掲示板に、裸同然の女性のポスターを張ったとして、警視庁は20日、都迷惑防止条例違反の疑いで候補者に警告した。都知事選を巡り、選挙運動用のポスター掲示板に同一のものが多数張られている事態について、林芳正官房長官は21日の記者会見で、「自身の選挙用ポスターを掲示するためのもので、候補者以外が使用できるものではない」との認識を示した。都選管は21日、過去最多の56人が立候補した東京都知事選の政見放送の放送予定を発表した。候補者の乱立により、公約などを訴える政見放送の放送時間が11時間を超えると見られる。

派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて、自民が提出した改正政治資金規正法は19日の参院本会議で、自民・公明の賛成多数により可決、成立した。裏金事件の再発防止、カネの流れを巡る透明性確保の点で問題が指摘されるなど懸念が残った。規正法の時効は5年だが、領収書の公開は10年後と定められており、責任追及が困難となる。さらに、領収書が黒塗りされて公開される可能性がある。政策活動費を監督する第三者機関の設置時期、権限、監査のあり方など具体化の必要な検討項目は多い。岸田総理は21日、「附則において検討課題とした政策活動費の透明性の強化や監査のための第三者機関の設立などについては、今後早急に内容具体化の協議を進める」と述べた。ANNが15、16日に行った世論調査で、国会で審議されていた政治資金規正法改正案を「評価しない」との回答は59%で、「評価する」は22%という結果が明らかとなった。政治資金規正法改正案を巡り、参院政治改革特別委員会が14日に開催された。参考人質疑に出席した駒澤大学の大山礼子名誉教授は、「国民を巻き込んだ議論がないまま、早目に決着しようという感じになっているのが残念」と述べた。

自民党安倍派の元会計責任者が自身の公判で、資金還流に言及し、「この会合で還付再開が決定した」と発言した。立憲民主の岡田克也幹事長は18日、この発言を受けて、「(安倍派)幹部の皆さんにもう一回、しっかり聴かなければならない」と自身の考えを語った。また、共産の穀田恵二国対委員長は、「証人喚問をして、この問題を明らかにすべきだ」と強調した。19日に3年ぶりに開かれた岸田総理と野党各党トップによる「党首討論」では、激しい論戦が繰り広げられた。国民民主の玉木雄一郎代表は、「総理は今、四面楚歌ではないか。野党の協力が得られない。自民党の中からも総理の責任を問う声が公然と出ている。国民の信頼は地におち、四面楚歌、八方塞がり。なぜこの事態になったのか」と語気を強めた。これに対して、岸田総理は、「私自身は四面楚歌であるとは感じていない」と応じた。政局の焦点が9月に行われる自民党総裁選になる中、岸田総理は21日の会見で、「今道半ばであり、重要な課題が山積し、先送りできない課題がある。引き続き、道半ばの課題について、結果を出すよう努力する」と述べ、総裁選出馬への意欲をにじませた。

自民党の東国幹衆院議員は22日、北海道旭川市の会合で、「9月の党総裁選で再選を目指す岸田総理に、出馬するべきではない」との考えを示した。裏金事件を巡る政権の対応に批判が集まる中、東衆院議員は、「岸田総理、総裁はゆめゆめ(総裁選の)再選などと軽々しく口にすることではなくて、むしろ自民党に新しい扉を開く、その橋渡し役を私は担っていただきたい」と述べた。東衆院議員は、茂木幹事長も出席して行われた会合のなかで、裏金事件について陳謝していた。また、自民の斎藤洋明衆院議員は16日、岸田政権の対応について、「今、こういった状況に至った責任は、最終的に誰かがとらなければならない」と語り、岸田総理の責任に言及した。発言があった会合には、麻生副総裁が出席していた。

東京都知事選を巡っては、4氏を含め56人が立候補を表明している。

★ゲスト:久江雅彦(共同通信論説委員兼編集委員)、牧原出(東大先端研教授)
★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト)

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