「健康のタネ」のコーナーでは今回、“これから流行する病気”をテーマに紹介します。まずは「夏の三大夏風邪」として「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(アデノウイルスの感染症)」が挙げられます。7から8月に流行のピークを迎え、子供だけでなく大人も感染し重症化するリスクがあります。
  
この「夏の三大風邪」に加えて、今後注意したい「劇症型溶血性レンサ球菌」いわゆる“溶連菌”について専門医に聞きました。話を聞いたのは、福井大学病院小児科の山田健太医師です。
 
山田医師によれば、この「夏の三大風邪」はいずれもウイルスによる感染症。アデノウイルス感染症は、高熱と一緒に喉の痛みも出てきますが、胃腸炎のような腹痛や下痢などの症状もあり、場合によっては目に結膜炎を起こすこともあるといいます。
  
子供の病気だと思われがちなこの3つの感染症は、大人も感染する可能性があります。
 
福井大学病院小児科・山田健太医師:
「大人が感染した場合は、体力があるので軽く済むこともあるが、逆に子供からうつった場合は、子供よりも強い症状が出ることもあるので、大人も感染に注意が必要」

またその治療法について山田医師は「3つの疾患ともウイルスが原因で、残念ながらどれも特効薬はない。自分の免疫力で回復していくのを待つしかないが、つらい症状を和らげる為に、病院では必要な治療を行ったり、また悪化がしないかを観察していくことが出来る」と話します。
 
また、山田医師は全国的な流行を踏まえて、今後県内でも感染の拡大の恐れがある病気について教えてくました。それが「劇症型溶血性レンサ球菌」いわゆる“溶連菌”による感染症です。
 
溶連菌は一般的に、咽頭炎などを引き起こす細菌です。まれに劇症化し、手足の壊死や多臓器不全を伴うショック症状に至る為「人食いバクテリア」とも呼ばれます。
  
福井大学病院小児科・山田健太医師:
「溶連菌による感染症で一番一般的なのは、喉の咽頭炎を起こす症状が最も一般的。その中でごく一部の人には、劇症型の溶血性レンサ球菌感染症を起こすことがあり、一般的な咽頭炎もその劇症型も、どちらも例年を上回る数で患者が発生している」
  
致死率が約3割と極めて高く、今年の患者数は全国で977人。1999年の感染症法による届け出開始以降、過去最多だった2023年の941人を半年で上回りました。県内でも症状が報告されていて、2024年はこれまでに7人と、2022年1年間の感染者5人をすでに上回っており、今後、さらに増える可能性があります。
 
福井大学病院小児科・山田健太医師:
「喉の症状だけで済む場合もあれば、劇症型の症状を出すこともある。なぜそのような違いがあるのかまだ完全には分かっていない」

発症後の進行スピードが早いのが特徴で、発症すると数日以内に血管や神経などが壊死する為、ショック症状を引き起こして死亡するケースが多く“早期発見がカギ”となります。
 
山田医師は感染予防について「どのような感染症も 外から自分に入ってくるので、その感染経路を断つという意味でも、手をしっかり洗うこと」と呼びかけます。また、免疫力を上げるために「しっかりとした睡眠や食生活、規則正しい生活が大事。また、適切な予防接種も必要」と話していました。
  
また「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」に関しては、細かい傷口からも感染する可能性があるので「小さな傷でも適切な処置を怠らないでほしい」ということです。

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