「全役職員にとり愛着ある建物。でも我々だけではアイデアに限りがある」。南都銀行(奈良市)は創立90周年事業として、大正末期に建てられたレトロな本館の活用アイデアを広く募っている。
歴史ある建物が突然解体されることも少なくない中、活用策を広く募るのは珍しい。
同行は奈良市大宮町に新本館を建築中で、来年春の移転を予定している。創業以来本店として利用してきた本館は、1926(大正15)年、前身の旧六十八銀行奈良支店として建てられた鉄筋コンクリート造り3階建て。
正面にギリシャ風の柱が並んだ古典様式を採り入れたデザインで、国の登録有形文化財にもなっている。設計した長野宇平治は、日本銀行本店や東京駅、奈良ホテルを設計した辰野金吾に師事し、日本銀行の旧岡山支店や旧広島支店などを手がけた。
本館は53年と71年に増築、7階建ての新館と合わせると、のべ床面積は約1万平方メートルにのぼる。
同行は歴史ある建築物の活用で地域に一層のにぎわいを創出したいとしており、アイデアは建築関係者などの「プロ部門」と、個人やグループの「一般部門」に分けて募集している。
寄せられたアイデアを参考に、同行で具体的な活用策を検討する。橋本隆史頭取は「今年度中には方向性を打ち出したい」としている。
締め切りは7月10日。各部門で入賞作品を最大で8作品選ぶ。賞金は10万円。応募はホームページ(https://www.nantobank.co.jp/naramic/index.html)から。問い合わせは同行「南都なら未来アイデアコンテスト事務局」(0742・27・1526)へ。(神田剛)
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