大阪府泉佐野市の子ども食堂を利用する中学生9人が新しいご当地グルメを目指し、ギョーザの開発に取り組んでいる。タマネギやキャベツなど地元特産の野菜を使い、「泉佐野ギョーザ」と名付けた。生徒たちは「多くの人を笑顔にし、泉佐野を盛り上げたい」と意気込む。【中村宰和】
開発を始めて約9カ月、泉佐野ギョーザは完成に近付く。口に運ぶと、野菜のうまみが広がり、少し遅れて肉の食感を楽しめる。市役所で4日、試食会が開かれ、参加した市職員30人から「とてもおいしい」「ビールに合いそう」「皮がパリッとしていたらもっといい」などの意見が出た。子育て支援課の奥村真由さん(31)は「ギョーザは脂っぽいイメージがあるけれど、さっぱりしている。タレをつけなくても食べやすく、具材の味だけで勝負するのはいいアイデアだと思う」と感想を口にした。
生徒たちは、NPO法人「キリンこども応援団」が運営する子ども食堂を利用し、自主的な活動として2023年7月からギョーザ作りに取り組んできた。地域の課題として関西空港を利用する旅客の多くが市中心部に立ち寄らない現状を知り、「泉佐野を訪れてもらえるような食べ物を考えよう」と話し合った。ギョーザとラーメン、ハンバーグの三つに絞り、地元特産の「泉州タマネギ」や「松波キャベツ」を具材に使いやすいギョーザに決めた。
具材はタマネギとキャベツ、粗びきの豚肉、ニラで、収穫の時期に合わせて地元の野菜を使う。試作は失敗の連続だった。キャベツの塩もみをすると、分量を間違えて塩をたくさん入れてしまった。
調味料選びに苦労し、何度調理してもほとんど味がしなかった。しょうゆやオイスターソースなどを加えると、その味が濃すぎて野菜のうまみが消えてしまった。宇都宮など全国各地のギョーザ14種類を食べ比べ、インターネットでレシピを調べ、みそを入れることを思いついた。野菜のうまみが生かされ、まろやかな味になり、生徒たちはハイタッチして喜んだ。中学2年の山田心優(みひろ)さん(13)は「何度も泣いたり、落ち込んだりした。みそを使うことで差別化できた」と振り返り、「市内の飲食店20店舗以上に採用され、泉佐野に来たらいつでも食べられるようになってほしい」と願う。キリンこども応援団は商品化を目指して食品会社と交渉中で、味の改良を続ける。
後押しする市は24年度中に泉佐野ギョーザなど各地のギョーザの食べ比べを楽しめるイベントの開催を計画している。千代松大耕市長は「飲食店ですぐに出せるほど完成度が高い。全面的に売り出して商品化され、泉佐野の名物になってほしい」と期待する。
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