野球のサインはチームの極秘事項だが、「ノーサイン野球」の大崎にも、「知られたらまずい」ことがある。ラーメン店「ぶぅさん」のことだ。
「おなかを満たす象徴」と言える「二郎系ラーメン」で、分厚いチャーシューに、しゃきしゃきの野菜が丼からはみ出るように盛られている。麺は250グラムの極太で、部員7人が来店した店内には「ズルズル、ズル」と麺をすする音が響き渡った。
最大のポイントは「学割」だ。大崎高校の制服で来店すると、850円(税込み)のラーメンが500円(同)になる。店長の相田浩道さん(47)が「おなかをすかせた高校生が大人と同じ料金では、食べに来ることができない」と2018年の開店当時から続けている。
同校から徒歩約7分。野球部以外にも人気が広がっており、上級生が新入部員を連れて行くのが伝統だ。卒業式の日は、相田店長の計らいで「大崎高校貸し切り」で営業したという。
副将の秋葉陸君(2年)は、2週間に1度は通う常連だ。「スープに中毒性がある。おなかいっぱいになって帰っても、翌朝目覚めると、また行きたくなっている」と興奮気味に話した。
大崎は「中堅強豪校に勝ち4回戦進出」を目標にしている。相田店長は「試合に勝って食べにきてほしい。もし甲子園出場が決まったら……。うーん。貸し切りでごちそうしましょう」と笑った。(中村英一郎)
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