米食品医薬品局(FDA)は2日、米製薬大手イーライリリーが開発したアルツハイマー病の新治療薬「ドナネマブ」の製造販売を承認した。投与対象は認知症の初期段階の患者で、症状の進行を抑える効果を見込める。1年間の費用は3万2000ドル(約510万円)。日本でも承認申請している。
アルツハイマーは「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれる異常なたんぱく質が脳内にたまり、神経細胞が壊れることが原因とされる。ドナネマブはこの異常なたんぱく質を取り除き、認知症の症状の進行を抑える狙いがある。月1回30分の点滴を6カ月続けた場合、治験前に比べ異常なたんぱく質を平均61%減らす効果があったという。12カ月なら80%、18カ月なら84%減った。
投与対象は、アルツハイマー病による軽度認知症と、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の患者。有害たんぱく質が十分に除去できたと確認できれば投与をやめられる。
日本のエーザイなどが開発し日米などで承認された治療薬「レカネマブ」と同様の効果を持つ。レカネマブの年間費用(2万6500ドル)より高いが、イーライリリーは「たんぱく質を除去した時点で治療を中止でき、結果として費用を削減できる可能性がある」と説明している。【ワシントン大久保渉】
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