JR北海道は3日、2023年度の線区別収支を発表した。公表を始めた14年度以来10年連続で全線区が営業赤字だった。新型コロナ禍からの旅客需要の回復で、全体の営業損失は前年より60億円縮小し、598億円だった。
売上高にあたる営業収益はほとんどの線区で増え、全体では前年比112億円(17.6%)増の754億円だった。ただ、電気代や軽油の高騰などで営業費用全体も前年より51億円(4.0%)増えた。
札幌圏(4線区)はインバウンド(訪日客)の増加や「エスコンフィールド北海道」(北広島市)の開業で利用が増え、営業収益が14年度以降最大の423億円となった。上半期では4年ぶりに黒字だったが、冬季に除雪費などがかさみ、年間では30億円の赤字だった。萩原国彦常務はこの日の会見で、黒字化に向けて「さまざまな取り組みをもう少ししないといけない」と語った。
国や自治体の支援を受けて存続を目指す8線区(通称・黄色線区)は営業損失が148億円と前年より9億円拡大した。コロナ禍の影響が少ない19年度と比べると、営業収益は92%にとどまり、石北線(上川―網走)での土砂災害復旧工事による費用増も響いた。
JR北は沿線自治体と黄色線区の赤字の圧縮に取り組んだうえで、維持に向けた「抜本的な改善方策」を26年度末までにまとめる方針。萩原常務は「地元の関係者としっかりと打ち合わせを進める」と語った。(新田哲史)
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