認知症が原因で行方不明になったとして2023年に全国の警察に届け出があったのは、前年比330人増の1万9039人で過去最多を更新した。警察庁が4日、発表した。統計を取り始めた12年以降、11年連続の増加。23年中に所在を確認できなかったのは同34人減の250人だった。
認知症の行方不明者の内訳は男性1万597人、女性8442人。都道府県別では兵庫の2094人が最多で、大阪2016人、埼玉1912人、神奈川1843人、愛知1577人と続いた。最も少ないのは佐賀の38人で、次いで島根の44人だった。
22年以前の届け出も含め、23年中に警察や家族らに発見されたのは1万8221人。所在確認の時期は99・4%が1週間以内で、届け出当日は74・2%だった。一方で、死亡していたのは553人だった。届け出の取り下げなども185人あった。
23年7~12月の行方不明の状況を警察庁が分析したところ、全地球測位システム(GPS)機器を靴などにつけていたことで71人の所在が分かった。60人は家族が持たせ、11人は自治体からの貸与だった。
GPS機器を持っていたため、群馬県の60代女性は東京都内に移動していたが、その日のうちに見つかった。埼玉県の70代女性が翌日に仙台市内で発見されたケースもあった。
また岩手県では、樹木で覆われた崖下の川岸で身動きができなくなっていた70代男性が、熱を感知するカメラを搭載したドローンで見つけられたという。
認知症以外も含めた行方不明者の届け出総数は、前年比5234人増の9万144人で、3年連続で増加した。9万人を超えたのは05年以来、18年ぶり。【山崎征克】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。