大津地裁、大津家裁、大津簡裁が入る庁舎=戸上文恵撮影

 通っていた高校で教諭によってテストの点数を他の生徒と共有され、精神的苦痛を受けたとして、元男子生徒が滋賀県に対し損害賠償を求める訴訟を19日に大津簡裁に起こすことが分かった。

 訴状などによると、元生徒は滋賀県立高に通っていた今年1月、英語の補習の理解度を確認するテストを受けた。担当の英語教諭が採点後、同じ補修を受けた元生徒を含む生徒5人に対し、5人全員の点数を校内の連絡ツールであるアプリのグループ機能を使って送信した。5人はお互いの点数を知ることになったが、元生徒は学習が苦手で日ごろから周囲にからかわれており、点数を知られたことで、今回もばかにされているのではないかともんもんとして苦しみを抱えることとなったとして、慰謝料50万円を請求している。

 元生徒はその後、退学した。元生徒の母親は毎日新聞の取材に、「個人情報をしっかりと管理してもらいたい。他の生徒も悲しまないようにしてほしい」と話し、母親によると、元生徒は「残っている生徒なども同じ思いをしてしまうとかわいそう。もうこのようなことはしないでほしい」と話しているという。

 学校側は今年1月15日、元生徒と家族に謝罪。取材に対し、英語教諭がアプリで点数を共有した理由について、「どれだけ力がついたか、お互いに意識して励ましあってほしかったという意図だった。『個人情報の取り扱いについて申し訳なかった。反省している』と話している」と説明した。県教育委員会は、「個人のプライバシーを共有したことは配慮がなく不適切だった。同様のことが起きないように全ての県立学校に指導していく」とコメントした。【菊池真由】

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