JR旅客各社と日本民営鉄道協会などは、全国37の鉄道事業者で駅員や乗務員らが客から受けた暴力行為が、2023年度に計517件あったと発表した。22年度より26件減ったが、依然として500件を超えており、コロナ禍前の件数に近づいている。暴力行為をした人の54%が酒気を帯びていたという。

 曜日別では、土曜が95件で最も多く、次いで日曜82件、金曜78件と週末が目立った。時間帯は深夜(午後10時~午前5時)が166件と最多で、夜(午後5時~午後10時)と日中(午前9時~午後5時)がともに137件だった。

 暴力行為をした人の年代別では、60代以上が118件で最も多く、次いで50代103件、20代以下89件だった。発生場所は改札191件とホーム175件で全体の約7割を占め、次いで車内64件の順だった。駅員らが客同士のトラブルを仲裁したり、迷惑行為を注意したりした際に暴力を振るわれる例が多いという。

 客が著しい迷惑行為や理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)をめぐっては、JR東日本が今年4月、暴行や威圧的な言動、土下座の要求などには「対応しない」とする方針を表明。JR西日本や日本民営鉄道協会も同様の取り組みを進めている。(細沢礼輝)

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