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Q 夏バテ防止に「麦とろご飯」が良いと聞きました。調理のこつと、食べ飽きないレシピを知りたいです。 A 卵白で ふんわり

浜内千波さん

 大麦を加えたご飯にとろろをかけた「麦とろご飯」。大麦には、発汗で失われるミネラルやビタミンの他、腸内を整えたり食後の血糖値上昇を抑えたりする食物繊維も多く含まれます。山芋をすりおろしたとろろも栄養豊富な上、炭水化物(でんぷん)を分解する酵素「ジアスターゼ」が消化吸収を助けてくれます。  おいしくいただく方法を、料理研究家の浜内千波さん(69)に教えてもらいました。  大麦は、平たく加工した「押し麦」でも、粘りが強いもち性の「もち麦」でもOK。白米の3割以上の量を入れると麦らしい粒々としたかみ応えを楽しめます。「私の場合、白米1合(150グラム)に対し、大麦を100グラム入れます。麦多めの方が、そしゃく回数が増えて胃腸に負担がかかりにくく、血糖値も急上昇しにくくなります」(浜内さん)  とろろに混ぜるだし汁も、自分で作ればより風味豊かに。水、しょうゆ、みりんを耐熱ボウルに入れて、電子レンジで軽く湯気が出るまで温めます。かつお節と昆布を入れ、ボウルごと水に漬けて冷まします。

空気を含ませるようにとろろをかき混ぜる。途中、卵白を2度に分けて入れる

 山芋は、水分量の多いナガイモが比較的安価で入手しやすいでしょう。こんろの火でひげ根をさっと焼き、水洗いします。皮はそのままでも大丈夫ですが、むいた皮をサラダ油で炒めて塩を振ると副菜になります。すりおろし器でおろしてボウルに移し、こしただし汁を少しずつ加え、泡立て器で空気を含ませながらかき混ぜます。卵を卵白と卵黄に分け、途中で卵白を2度に分けて入れて混ぜると、ふんわりまろやかに。最後に卵黄を入れます。

塩こしょうした豚肉をフライパンで両面焼く。ナガイモの皮を一緒に入れてもおいしい

 浜内さんは「とろろは、味に特徴がないからこそ、多様な食材や調味料との組み合わせを自由に楽しめる。すばらしい引き立て役」と説明します。この時期、特にお勧めなのが、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富な豚肉を入れたレシピ=材料例、写真<1>。薄切りにした肩ロースなどを塩こしょうを振って焼き、みじん切りにした長ネギや玉ネギをごま油、塩などとあえたたれをかけると、ネギの成分がビタミンB1の吸収効率を高め、夏バテ防止効果が一層期待できます。「生のまま、素早くごま油とあえるのがポイント」です。

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 浜内さんは、ビタミンやミネラルが取れる夏野菜入りのオリジナルレシピもお勧めしています=同<2>。「肉や魚だけでなく、秋はキノコ、冬はホウレンソウやブロッコリーなど季節の食材を組み合わせれば、栄養満点で彩りのある麦とろご飯ができますよ」 (神谷慶)

◆夏バテ解消! 豚焼き肉麦とろ

【材料例(2人分)】 麦ご飯  お好きな量
ナガイモ  200g
卵  1個
青のり  お好みで少々
豚薄切り肉  100g ※以下、だし汁用 水  50ミリリットル
しょうゆ、みりん 各大さじ1
かつお節、切り昆布 少々 ※以下、ネギだれ用 長ネギ  50g
塩  小さじ1/4
砂糖、黒こしょう 少々
ごま油  大さじ2

◆ミョウガとオクラのスダチ添え麦とろ

【具材の作り方(2人分)】 (1)ミョウガ(1本)を小口切りにし、さっと水洗いして水気を切る (2)オクラ(2本)、シシトウ(2本)は薄切り、スダチ(1個)は半分に切る (3)とろろに(1)(2)を混ぜて盛り付け、スダチを添える

◆キュウリとトマトのサッパリ麦とろ

キュウリとトマトのサッパリ麦とろ

【具材の作り方(2人分)】 (1)キュウリ(40g)、トマト(40g)は粗みじん切りにする (2)米こうじみそ(大さじ2弱)にだし汁(40ミリリットル)を少しずつ入れて伸ばし、とろろを混ぜ込む (3)全部を混ぜ、器に盛り、白髪ねぎ(適量)を載せる

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