本格的な夏が近づくと食べたくなる「カレー」。スパイスをたっぷり使った専門店で食べるも良し、家庭で好きな具材を入れて作るのも良しの国民食だ。手ごろな価格で食べられるのも魅力の一つだが、異変が起きている。
帝国データバンクが算出する「カレーライス物価」の5月分は1食あたり323円となり、2015年以降の最高値を更新した。298円だった前年同月と比べ25円増で、安価で手軽なカレーのコスト負担が増している。今回初めて公表した。
カレーライス物価は、家庭でカレーを作る費用を原材料価格などから算出。5月分は「カレー具材(肉・野菜)」が全体の約6割を占めた。円安の影響で輸入牛が値上がりし、天候不順によりニンジンなど野菜類も高値で推移している。ご飯もコメ不足の影響で店頭価格が上昇している。
カレーライス物価が300円台となるのは23年8月以降10カ月連続。ジャガイモやニンジン、タマネギなどの野菜価格の高止まりが予想されており、6月には330円台に突入するとみられている。
おうちカレーだけでなく、専門店のカレー価格も上昇する。「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)は11日、ポークカレーなど主力のカレーメニューを8月1日から値上げすると発表した。値上げ幅は平均10・5%で、ポークなどの主力カレーで43円から最大76円の値上げとなる。
このほかにソーセージやチキンカツなどトッピング45種やサイドメニューの値上げも実施。地域別価格も廃止する。壱番屋によると、ベースとなるカレーの値上げは2022年12月以来で、スパイスやコメ、肉といった原材料のほか光熱費、物流費などのコスト上昇が原因という。
一方、牛丼チェーンの「松屋」はレギュラーメニューのカレーを「ビーフ」から「チキン」に切り替え、価格も580円から480円に引き下げる。運営する松屋フーズ(東京都)はカレーのメニューを定期的に切り替えているが、「できるだけお求めやすい価格で提供したい」と具材を変更。ビーフは終売し、今月16日午後3時からはオリジナルチキンカレーを販売する。【道永竜命】
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