考えや知識を外に出すアウトプット学習は、インプット学習よりも定着率を高めるといいます。親子で楽しめるカルタ作りなど、家庭でできるアウトプット学習のやり方を紹介します。

テレビ静岡で7月14日に放送されたテレビ寺子屋では、教育評論家の親野智可等(おやのちから)さんが、学習内容の定着に効果的なアウトプット学習の実践例について教えてくれました。

◆アウトプット学習のすすめ

教育評論家・親野智可等さん:
勉強法にもいろいろありますが、学校の授業も宿題も量や時間が多ければいいというものでもなく、大事なのはどれくらい習得したか、定着したかということです。講義を聞いたり実演を見たりする受け身的な「インプット学習」より、人に教えたりグループ討論したりして外に出す「アウトプット学習」の方が定着率がいいということが学問的に分かっています。

「アウトプット学習」の中から、家庭でできる具体例をいくつか紹介します。

◆記憶をたどっておしゃべりする

子供が学校から帰ってきた時に「今日どんな勉強をしたの? 教えて」と投げかける。すると例えば「社会の授業でこういう勉強をして、こうだった」などと返してくれ、これがアウトプットになるわけです。

記憶をたどり授業の場面を思い出しながら、自分の中で表現するためにちょっと咀嚼(そしゃく)して組み替えてアウトプットする。この過程で記憶がよみがえり、定着していきます。

◆文字や絵にして遊びながら学ぶ

昆虫が大好きな男の子が、ある時図鑑を見ながら昆虫の絵を描き色を塗り、昆虫カードを作っていたそうです。

お母さんが、「別のカードにその昆虫の特徴を書くとカルタができるよ」と言い、例えばコーカサスオオカブトだと「3本の角があるアジア最大のカブトムシ」などと書きました。

特徴を書くためには図鑑をしっかり読まないといけないし、大事なところを選び端的にまとめる。それもまたアウトプットです。

カードがいくつかできたところでお母さんが読み札を読み、お父さんとカルタを取り合う。遊びの延長線上で、すごくいい勉強になったという話を聞きました。

絵とか文字で表現していくことが、子供にとって楽しいアウトプットになるわけです。カルタに限らず学習漫画を自分で書いたり、イラストを使って吹き出しの解説を作ったり、壁新聞にするという実例も見たことがあります。

◆社会や理科も声に出して読む

学校の宿題でよく国語の教科書を読んでいると思いますが、社会や理科などの教科書も音読する。音読も一つのアウトプットです。

音読することで分かっていなかったことが分かったり理解が深まったり、自分の声を自分の脳が聞いているので、それでまたインプットもできると良いサイクルが生まれます。

ただ、そのまま読んでいるだけだと飽きてしまうこともあります。そこで例えば、「お経読み」と言ってお経のように読むことを授業で取り入れてみると、子供たちがものすごく喜んでやっていました。

その他、「ミュージカル読み」や「おじいさん読み」など、それぞれになりきって読むのです。ちょっとした変化が楽しいんですね。

◆子供の「やる気」を大切に

いくつか紹介しましたが、ひとつ注意点があります。「アウトプット学習」はすべて、本人が好きで楽しく喜んでやるということが大事です。あまりやる気が出ないものは逆効果になるのでやめましょう。

他にも、いろんなアウトプットの方法がありますので、本人が楽しめる方法をぜひ提案してあげて、親子でエンジョイしながらやってみてください。

親野智可等:1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。教育現場で親が子供に与える影響の大きさを痛感。教師としての経験と知識を子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発刊し、評判となる。

※この記事は7月14日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。