◆レンジ使い 健康に
転機は40歳過ぎ。母校で栄養指導実習講座を担当していたころ、糖尿病を改善する食事の開発に取り組む中で、電子レンジで調理することを思い付きました。当時レンジはまだ食事を温めるだけで、調理で使うことは知られていませんでした。レンジなら、油控えめで栄養バランスよく、時短で料理ができる。これだ!と思いました。 エビチリやチンジャオロースなどをレンジで調理し、学生に出すと「おいしい!」と声が上がりました。レンジの仕組みや使い方を研究し、家庭料理のレシピを考案。地元の新聞で連載していたコラムが出版社の目に留まり、関連本を初めて出しました。 講演会などでいつも伝えているのは「ちゃんと食べて、ちゃんと生きる」ということ。人の体は古くなったからといって、新品に換えることはできません。人に世話をかけたくないと思うのであれば、毎日3食、こつこつと食べて、体を維持することが大切です。 特に年を重ねると消化吸収する力が落ちてきます。私はおやつとしてチーズやちくわ、ソーセージなどを常備して、タンパク質を小まめに取っています。外出時には市販されている大人のための粉ミルクをバッグに入れておき、例えばコーヒーを飲むときに足すようにしているんです。 実は昨年夏、スタジオ内で勢いよく転んで、大腿(だいたい)骨を折ってしまいました。ただ通常は回復に時間がかかるようですが、私は翌日からリハビリを始め、10日後には退院。頼まれていた講演会にも出かけました。周りには驚かれましたが、今振り返ると、きちんと食べていたことが大きかったのではと思っています。◆夢は 食堂開くこと
好きなことをするのも大事ですよ。趣味でも何でもいいので、自分が大好きだと思うことに、毎日、ぜいたくに時間をお使いになったらいかがでしょう。私のこれからの夢は、昼間だけ開店する「村上食堂」を開くこと。10年前に夫を亡くしてから考えるようになりました。最近は1人暮らしが増えていて、誰とも話すことなく1日を過ごしている方も少なくないのではと想像します。食堂でお昼を食べながら、おしゃべりをして笑顔になってもらえたらと思っています。 (聞き手・川合道子)<むらかみ・さちこ> 1942年、福岡県生まれ。管理栄養士、福岡女子大客員教授。油控えめで栄養バランスのよい家庭料理レシピを次々と考案し、「電子レンジ調理の第一人者」と呼ばれるように。学校などでの食育活動にも力を注ぐ。著書は570冊以上あり、近著は「料理家村上祥子82歳、じぶん時間の楽しみ方」(エクスナレッジ)。
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