2人の警察官が犠牲になった現場は、当時どんな状況だったのだろうか? 周辺の様子や近所の人の話から明らかになってきた。

(リポート)
「車4台が流された現場です。パトカーはすでに運び出されましたが、ともに流された3台の乗用車は残ったままです。茶色い水が引いて辺りを見ますと、県内どこにでもあるようなのどかな田園風景が広がっています。この場所で警察官2人の命が奪われました」

7月26日、流されたパトカーなどが見つかった新庄市本合海・福田山橋周辺の上空からの映像。
画面上が新庄市方面、画面下が大蔵村方面。青の印が福田山橋、画面中央・赤の印が2人が乗っていたパトカー。
画面の右から左へ、山に沿って流れているのが新田川。この新田川が大雨によって画面右の上流部ではん濫し、周辺に広がる田んぼに流れ込んだ。

当時の様子を近くに住む野崎さんが証言してくれた。

(野崎香織さん)
「(25日は)朝から雷と豪雨が止まらない日だった。夜までずっとすごい雨の量で、夜中も止むことなく降り続いていた」

パトカーが見つかった26日、野崎さんが午前5時ごろに撮った現場の映像。
田んぼが「水に浸かったただの冠水」の状態ではなく、「流れ」ができているのがわかる。

(野崎香織さん)
「けっこうな勢いだった。水浸しだった。車も半分以上水で隠れていた。この道路ができてから大雨でも水が上がった・濁流が流れたことはない」

きょう(29日)水が引いた市道の街路樹には流木が引っかかっていて、その向きを見ても新田川の流れに沿って市道を横切るように濁流が流れていたことが推測できる。
その勢いに飲まれパトカーは流されたと見られている。

(リポート)
「水に流されたとの救助要請を受けた2人は、現場がある程度水に浸かっていることは想像していたはずです。ただ、その水が強い流れ・濁流だったことはわからなかった・見えなかった可能性があります。というのも、現場の市道には辺りを照らす街灯はほとんどありません。当時も暗かったことが想像できます」

(野崎香織さん)
「近くの工業団地の明かりはあるが、道路自体は街灯で直接照らされている感じではなく暗い」

昨夜(28日)の現場の市道の映像。
こちらのヘッドライトが当たって、道路脇のポールの反射材や水没した車1台は薄っすらと確認できるが、約1キロある道路の状況はほとんど見えない。
当時、停電にはなっていなかったが、大雨でさらに視界は悪かったと思われる。
2人はこの暗闇の中、救助に向かい濁流に流された。

玉谷巡査長から「パトカーが流された」と110番通報があったのは、25日午後11時45分ごろ。この少し前の11時40分、新庄市に大雨特別警報が発表されていた。
新庄市内は「これまでに経験したことのないような重大な危険が差し迫っていて、ただちに身の安全を確保し、命を守るための最大級の警戒が必要」な状況だったのだ。

(野崎香織さん)
「ずっと水害があるところだと警戒するが、ここは水害があまりない。この様子を見ると『次は気を付けないといけない』と思う」

テレビの報道も、災害が起きると避難を呼びかけながらも現場に向かう仕事ゆえ、今回の事故を“自分のこと”と捉えている。
県内で失われた2人の尊い命から学ぶべきことは多いと、いま感じている。

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