政府は2日、過労死防止大綱の改定版を閣議決定した。フリーランスについて長時間労働の防止や働き方の調査に取り組む方針を盛り込んだ。不利な取引からフリーランスを守る新法の施行を11月に控え、働き手を保護する仕組みの整備を進める。

大綱は過労死防止の推進法に基づき2015年に初めて策定した。国が取り組むべき重点対策や過労死防止の数値目標をまとめており、3年に1度見直している。武見敬三厚生労働相は2日の閣議後記者会見で「過労死ゼロの実現に向けて全力を挙げる」と述べた。

大綱ではフリーランスについて「発注者等との力関係に起因するハラスメント等が生ずるおそれがある」と明記し、過度な長時間労働を防ぐため仕事を依頼する発注者側に期日設定などの配慮を促すとした。これまでは「安心して働ける環境の整備に取り組む」といった表現にとどまっていた。

フリーランスの働き方や就労環境に焦点をあてた調査を実施するほか、実際に過労死に至ってしまった事例についても今後分析する。厚生労働省によるとフリーランスのうち35%が健康診断を受けていないといい、定期的な健診の受診による健康管理も呼びかける。

総務省の就業構造基本調査によると、副業を含めフリーランスとして働く人は22年時点で全国に約257万人。有業者に占める割合は3.8%で、幅広い年齢層に広がっている。

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