愛知県内の東海道新幹線で保守用車が別の保守用車に追突、脱線して浜松―名古屋間が終日運転見合わせとなった事故で、JR東海は5日、ブレーキ装置の点検方法を誤っており、一部の車両のブレーキがほぼ利かない状態だったと発表した。点検方法の誤りは、車両を導入した2010年から続いていたという。

 同社によると、追突した保守用車は、動力車3両とバラスト(砕石)運搬車6両で編成。運搬車のうち3両でブレーキがほぼ利かない状態だった。残る3両は脱線で装置が破損したが、ブレーキを掛ける力は大きく低下していたとみられるという。動力車のブレーキに異常はなかった。

 運転士がブレーキを操作すると、ブレーキシリンダー内に空気が送り込まれ、車輪に制動力が伝わる仕組み。作業前の点検でシリンダーの可動部を確認していたが、ブレーキの強さや目盛りの判定位置を誤っていたため、装置の摩耗が進み、ブレーキを掛ける力が低下していたという。

 同社には運搬車が計30両あるが、ほか5両でもブレーキ力不足を確認。事故車を含め、約3分の1に問題があった。同社は正しい点検方法をマニュアル化し、再発を防ぐとしている。新幹線鉄道事業本部の川越洋施設部長は「大切なブレーキ管理で問題を起こしたことを深く反省している」と述べた。

 追突事故は7月22日未明、三河安城―豊橋間の上り線路で発生。保守用車が下り坂を走行中にブレーキが利かなくなり、時速約40キロで別の作業車両に追突し、2台とも脱線した。この事故で、追突車両の運転士が首を骨折するなど作業員4人が負傷。浜松―名古屋間は終日運転再開できず、上下328本が運休し、約25万人に影響した。(細沢礼輝)

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