台風5号は8月12日朝、岩手県大船渡市付近に上陸し午後6時過ぎ時点で秋田県を通過しています。
岩手県内では記録的な大雨になっている所があり、13日明け方にかけて大雨による土砂災害に厳重な警戒が必要です。

台風5号は12日午前8時半ごろ大船渡市付近に上陸し現在秋田県を通過中です。

11日に気象庁は「線状降水帯が発生して大雨災害が発生する危険度が急激に高まるおそれがある」と発表し、岩手県などに警戒を呼び掛けました。

中條奈菜花アナウンサー(11日夜)
「2016年の台風10号で大きな被害を受けた岩泉町です。こちらの避難所には83人の町民が避難をしています」

避難した岩泉町の人
「(8年前には)床上75センチほど冠水した。何事もなければ一番いい」

不安を抱えたまま一夜が明けた12日朝、台風5号は午前8時半ごろ大船渡市付近に上陸しました。

佐藤貴広記者
「台風が上陸した大船渡市内の漁港です。雨風がとても強くうねる波が押し寄せています」

午後4時半時点の最大24時間降水量は、久慈市・下戸鎖で368.5ミリ、大槌で273.5ミリと観測史上最も多くなりました。

内記和人記者
「久慈市の滝ダムに来ています。ダムの中に流れ込む水の量が増えたため、きょう午前から緊急放流が行われています。下流の長内川はさらに水嵩が増えています」

久慈市の滝ダムでは大雨でダムの水位が高くなったため、午前10時過ぎから午後2時すぎまで「緊急放流」を実施しました。

下流に位置する久慈市の長内町と小久慈町には一時警戒レベル5の「緊急安全確保」が出されましたが、現在は警戒レベル3の「高齢者等避難」に切り替わっています。

県内で避難した人が最も多くなったのは午後1時ごろで、自主避難を含め2082人が避難所に身を寄せました。
これまでに人的被害は報告されていません。

一方で時間の経過とともに台風の爪痕が明らかになっています。

中條奈菜花アナウンサー
「岩泉町内を流れる清水川です。ものすごい勢いの濁流です。あちらでは道路にまで水があふれだし通行できない状態となっています」

岩泉町岩泉では清水川沿いの町道が陥没しました。
清水川の監視をしていた工事業者によりますと、11日午後7時ごろから12日朝にかけて水位は約2倍になったということです。

釜石市甲子町では土砂崩れで作業小屋1棟が押しつぶされました。
雨の影響で山が崩れ流れ込んだものとみられます。

井上智晶アナウンサー
「岩泉町の観光スポット龍泉洞です。入口からはおびただしい量の水が溢れ出し、現在閉鎖されています」

11日は通常通り営業していた岩泉町の龍泉洞は、一晩で一気に増水し通路が冠水したことから12日は閉鎖となりました。

龍泉洞では2023年も大雨で水量が増え8月14日から9月1日まで閉鎖されていて、2年連続でのお盆期間中の閉鎖に関係者は肩を落としました。

龍泉洞管理事務所 菊地隆二所長
「2mくらい(水位が)上がった。1年で一番にぎわう時期なので大変残念」

久慈市山根町の下戸鎖では、12日朝までの24時間に368.5ミリの雨が降り観測史上最大を記録しました。

内記和人記者
「こちらが現在4人が身を寄せている山根市民センターです。すぐそばを流れる川は敷地の高さまで水位が迫ってきていて避難所も安心できない状況です」

濁流が押し寄せる久慈市の長内川は氾濫危険水位を超え付近の住宅の敷地からも水が流れ出ていました。

久慈市地域づくり振興課 川端萌主事
「もしこのあと越水してきても2階に垂直避難の形になると考えている。なるべく安全・安心な場所に避難していただければ」

公共交通機関にも影響が出ています。

JRでは釜石線・大船渡線の全線とその他の在来線の一部区間で終日運転を見合わせ、三陸鉄道では12日始発から全線で運休となっています。

県内はこのあとも雨で雷を伴って激しく降る所がある見込みで、沿岸北部を中心に土砂災害に厳重な警戒が必要です。

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