特集は、北信濃の夏の郷土料理「やたら」です。2024年、地域に根付く食文化として文化庁の「100年フード」に認定され、長野県飯綱町では「やたら」を使ったさまざまな料理を提供するイベントも。注目度が高まっています。


■北信濃の夏の郷土料理「やたら」

ピザにカツ。

野菜を使ったおかずたっぷりのプレートも。

これらの料理に使われているのはー。


地域の住民:
「大体5ミリくらいで、このくらいで」

キュウリやナス、ぼたんこしょうなどの夏野菜を細かく刻み、刻んだみそ漬けを加えて混ぜます。

北信濃の夏の郷土料理「やたら」です。

地域の住民:
「おいしいな」


■文化庁の「100年フード」に認定

2024年3月、地域に根付いた食文化として文化庁の「100年フード」に認定されました。

大事な食文化を継承していこうと、飯綱町と町内で食育などに取り組む「だんどりの会」が申請していたもので、先日、報告会が開かれました。

だんどりの会・黒柳博子会長:
「『やたら』を地域の誇るべき食文化として100年の世代に受け継ぐだんどりをつけていきたい」


■専門家「夏場の健康を支える食材」

講師を務めた長野県立大学の中澤弥子教授は「やたら」の魅力について次のように語りました。

長野県立大 食健康学科・中澤弥子教授:
「(やたらは)こちらの(飯綱町の)皆さんの健康を夏場支えた素晴らしい食材。健康を維持して働く元気のもとだったのではないか。(『やたら』を)100年フードにできたのは素晴らしいと思う」


■「やたら」使った料理のイベントも

「やたら」は、それぞれの家庭や店で材料や作り方が異なります。

また、ご飯にのせるだけでなく、さまざまな料理にアレンジして楽しむこともできます。

こうした魅力を広く発信していこうと、町内では現在、19の飲食店が連携し、「やたら」を使った料理を提供するイベントも開かれています。


■「やたら」たっぷりのラーメン

参加店の一つ、農家レストラン「食ごよみ日和」。

こちらで味わえるのがー。


「やたら」がたっぷり乗った「やたら冷やし味噌ラーメン」(950円)です。

小布施から:
「おいしいですよ、野菜もとれるし。冷たくて食べやすいのと、夏らしくて」

食ごよみ日和・松沢靖店長:
「冷たいおみそ汁に『やたら』が入っているようなイメージ。もともと『やたら』は和風のものなので、みそにもとてもよく合い、うまく出来上がった」

「味噌ラーメン」は店の一番人気で、夏にも楽しんでもらおうと、2023年から「冷やし」の提供を始めました。


■パプリカ入りの自家製「やたら」

そこにのせるのが、毎日仕込んでいる自家製の「やたら」です。

町内産のキュウリやぼたんこしょうのほか、彩りとしてパプリカも加えています。

最後に特製の「塩だれ」で味を整えます。

食ごよみ日和・松沢靖店長:
「野菜自体の味やみそ漬けの味がしっかりしているので、(塩だれは)『補い』で」


8月から提供を始めたところ、夏にぴったりなメニューとして好評だということです。

横浜から:
「さっぱりしていておいしい。(ラーメンと)合ってると思います。体もひんやりと涼しくなっていいかもしれないですね」

食ごよみ日和・松沢靖店長:
「夏、食欲がないときでも野菜がたくさん食べれられるのは、昔から伝わる理にかなったもの。『やたら』をたくさん食べて、この夏を乗り切っていただければ」


■「やたら」のハンバーガーも!

天然酵母のパンなどを販売する「れうりや」で提供しているのはー。


揚げたてのトンカツにソースをつけてバンズの上へ。

その上に「やたら」をたっぷりとのせます。


「やたらバーガー」(850円)の完成です。

れうりや 店主・浜崎愛さん:
「洋のものと和のものとうまくミックスできように工夫した」


■使う野菜などで味が変わる良さ

れうりや 店主・浜崎愛さん:
「シンプルに刻むだけですけど」

使っている「やたら」は店主の浜崎さんの手作り。使う野菜は、日によって変わります。味を決めるみそ漬けも浜崎さんが冬に漬けたものです。

れうりや 店主・浜崎愛さん:
「あるものをアドリブで入れて、『きょうは甘いね』『しょっぱいね』と言って食べるのが『やたら』の良さ」


購入した人は―。

購入した人は:
「(やたらは)小さいころから食べている。お店によって『やたら』の味は違う。興味があったので頼んでみた」

「やたらバーガー」はテイクアウトだけでなく、店内でも食べることもできます。

記者がいただく―。

(記者リポート)
「『やたら』とカツがとてもよく合っておいしいです。夏にさっぱり食べられそうです」


2023年も販売して好評だったことから、店では、季節のバーガーとして売り出していきたいとしています。

れうりや 店主・浜崎愛さん:
「目新しい食べ方を試してみたい方にぜひ試してほしい。夏こそ、カツと『やたら』で元気を出してもらえるように、ぜひ食べてほしい」


■「やたら」食べ比べ楽しんで

イベントでは、2店舗で食事をすれば町内の特産品が当たるスタンプラリーにも応募できます。

北信濃の夏に欠かせない「やたら」。食べ比べてみてはいかがでしょうか。

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